いじめに対応していない奈良教育大附属小


 管理職によるマネジメントが不十分だと、やはりこんなことが起こるという典型的な事例だ。学習指導要領を守らず、職員会議を最高議決機関として運営されていた奈良教育大学附属小で、重大事態のいじめ事案があったことが発覚した。いじめに遭った生徒は、すでに転校を余儀なくされている。奈良教育大学は、調査委員会を発足させ、調査報告書を公表したが、被害に遭った児童の父親は所見を公表し、調査報告には納得がいかないと表明されている。
 いったいどんないじめがあったのだろうか?詳しくは、次のところを見てほしい。
奈良教育大学いじめ事案
【認定したいじめ内容】
▼「デブ」「うるさい」「死ね」「消えろ」「カス」など悪口を言った行為
▼複数の児童から「叩く」「殴る」「踏みつける」などの行為
▼折り紙、お守り、上靴などを隠したり、盗んだり、ゴミ箱に捨てたりした行為
▼サッカーで仲間外れにした行為、仲間に入れた時も児童にだけ「ちゃんとやれ」など言った行為など
▼女子トイレに無理やり入れた行為、その後「キモイ」と言って教室から閉め出した行為
▼被害児童が心身の苦痛を感じた行為

など
相当ひどいいじめである。叩く、殴る、踏みつけるという行為は、身体的暴力に値する。傷害罪だ。こんないじめが行われていたのに、学校は「いじめ事案」として対応をせず、管理職にも報告を怠っていたのである。管理職のマネジメントが不十分で、職員会議が最高議決機関だと主張している教職員集団は、自分たちに都合が悪いことを、自分たちの都合の良いように判断し対応することがよくある。時々、管理職も同じように自分に都合の良いように判断し、いじめを隠ぺいすることがあるようだが、言語道断である。
 創造的な教育を創出する役割を担う教育大学の附属学校であるが、このような基本的なこともできていないのだ。人事異動の問題で、附属小は揺れており、大学の方針に反対する署名活動も行われているようだが、解体的出直しが必要だろう。

 父親は所見で次のように述べている。
「息子が大事にしていたお守りをバラバラに解体してトイレに捨てた」「息子について『クラスで要らないと思うやつ』とクラス全員に挙手させ、居合わせた担任が真剣に関与しなかった」という二つの行為を「息子を絶望させた最も陰湿な出来事」と。ここまでいじめを受けて、自死の可能性も十分にあったのではないかと思う。よくぞ自分の命を大切にしたと思う。いじめに遭った児童の心情を思うと、心底心が痛むとともに、担任をはじめ、このいじめ事案を知りながら、不十分にしか対応しなかった奈良教育大学附属小の教職員に、凄まじい怒りを覚える。


“いじめに対応していない奈良教育大附属小” への1件のコメント

  1. NORIMI FUjIMOTOのアバター
    NORIMI FUjIMOTO

    久しぶりに感想を述べさせていただく。現役のころから思っていたが、いじめの結末は、ほとんど被害者の転校である。いじめられたものがなぜ転校しなければいけないのか。転校すべきは、いじめたほうではないか。もちろん、被害者がその場にいること自体、つらいと思うことも理解できる。しかし、いじめをすれば、そこにいられないという強い共通認識が親子ともどもなければ、いつまでもいつまでも、ひどいいじめはなくならないと思う。
     話は変わるが、宝塚のいじめも、被害者は命を失ったのに、加害者は、公にされることもなく(一部週刊誌のすっぱ抜きはあるが)、のうのうと宝塚で現役でいるという。おかしいとしか言いようがない。
     もうひとつ、この事件が仮にも「教育」と名付けられている大学の付属小学校で起こっていること。いったい、どんな児童、生徒、学生を育てる気なのか、日本のこれからの教育はどうなっていくのか、甚だ疑問である。

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