2000m級の滑走路は意味があるのか?


 山下知事が本格的に作成した令和6年度予算を巡って、知事対自民奈良県連との対立が深刻化している。対立しているのは、前知事と自民が調整をしながら進めていた五條市の2000m級の滑走路を有する防災拠点建設についてである。山下知事が、滑走路建設を撤回し、巨大ソーラー施設の建設に変更したためだ。午後11時過ぎに至るまでの議論の末、予算審議特別委員会は、原案を否決した。
 何が論点なのだろう。外部から見て思うことは、
(1)2000m級の滑走路を有する防災拠点は、意味があるのか
ということだ。まず、2000m級の滑走路を使うということは、かなり大きな災害が発生し、救援物資の輸送に使うのだろうと素人ながら考える。しかし、今回の能登地震で能登空港はかなり損傷し、すぐさま災害復旧に役立てることはできなかった。果たして、前知事と自民党は、どれだけの有効性を考えて、この2000m級の滑走路の建設を考えたのだろうか。それよりも、山下知事が進める「メガソーラー建設」の方が意味がある。平時には、発電した電気を売電することができるからだ。確かに、自民が批判するように、災害時にはメガソーラーは壊れることも想定される。しかし、滑走路も使用不能になる可能性も同じだけあるのだ。それなら、平時で有効活用できるメガソーラーの方が良いだろう。2000m級の滑走路を平時にどのように活用するというのだろうか。山下知事は、災害復旧拠点として、ヘリの発着基地も想定しているのだ。自民は何を持って反対しているのだろうか。
 次に匂うのは
(2)自民と建設業界の癒着
である。2000m級の滑走路の建設で潤うのは、地元の建設業界だ。自民は、「五条市民も反対している」というが、それは建設会社関係の人間ではないかと推察する。一旦作ってしまった滑走路は、そのメンテナンスも含めて、費用が掛かる。滑走路を平時でも有効活用しなければ、なんら資産を産み出さない「負の遺産」となる。全国で進められる空港建設ですでに経験済のことではないだろうか。
 3点目は
(3)自民の怨念
である。奈良県知事選は、自民党関連の分裂選挙により、維新系の山下知事が当選した。自民からすれば、「山下候補は、漁夫の利を得た」と思っているのだろう。だから、ねちねちと「反対のための反対」(山下知事談)の議論を行っている。

自民も本質的で建設的な議論をすべきだろう。それでなくても、支持率が下がっているのに。


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