勝負はこれから

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 今日は、卒業式だった。まずは、卒業された生徒及びその保護者の皆さんにおめでとうを言いたい。本当におめでとうございます。卒業式の様子は触れないでおこうと思う。ここで言いたいのは、これからが勝負なのに、本当に大丈夫かということだ。通信制を卒業して、やっと高卒の資格を得ることになる。全日制を卒業して高卒資格を得る生徒が、95%を超えている。高卒資格を得ずに社会に出ることは、かなりハンディを負うことになるのが現状だ。通信制を卒業して高卒資格を得たわけであるから、社会で生きていくためのスタートラインに立てたと言えるだろう。
 さて、ここからが本題だ。受付で卒業後の進路調査を回収していた。大学・専門学校・就職が決まっている生徒も多数いる。しかしながら、未定と記入する生徒も少なくないのだ。高校は卒業したけれど・・・その先は未定・・・。こんな状況で良いのかと思う。高卒資格を得ることがゴールになってしまっており、その先が考えられていないのである。指導をしても、その指導に乗ってこないのだ。未定の生徒たちは、この先どんな人生を歩んでいくのだろうか。日本で送る人生には、節目になる年齢がある。それが高卒の18歳であり、専門学校卒の20歳であり、大卒の22歳だ。その節目に何らかの次へのステージに移行するということが求められている。ここで、腰を下ろして休憩してしまうと、世間からは「?」と思われてしまう。腰を下ろすことが悪いわけではないが、腰を下ろした分、それ以上の自分の成長が無ければ、次のステージに上がりづらい。果たして、未定の生徒は成長するのだろうか。アルバイト生活を続けていれば、いつか大きなハンディを背負うことになりそうだ。

 もう一つ言いたい。きちんと進路が決まった生徒である。これから新たな環境で、仕事や勉学に努めていくのだろう。ここで心配なのが、果たして「続けることができるのか?」ということだ。通信制というシステムは、毎日授業に出るわけではない。単位習得のハードルもかなり低い。このような環境に浸かってしまった生徒は、全日制高校を卒業した生徒と同じ土俵に立つことになるのだ。ある生徒が、私にこんなことを言った。
私:「専門学校決まってんな!おめでとう!」
生:「ありがとう、先生。先生、ちょっと相談があるんやけど・・・」
私:「何なの?」
生:「俺、続くかな・・・通信制って毎日学校行かないやん。せやけどこれから毎日学校行かなあかんやろ、大丈夫かな・・・」
私:「せやな、最初はしんどいやろけど、慣れるしかないと思うよ。最初が肝心やわ」
生:「やっぱりそやな、がんばるしかないわな・・・」
と、こんな会話である。今から思い返すと、この生徒はまだましかもしれない。自らの弱点を自覚して、不安を口にしているからだ。全日制の生徒との格差も自覚せずに、大学とか専門学校に行った生徒は、周囲との資質の差にびっくりするのではないだろうか。それが挫折につながらなければ良いと思う。

卒業生の皆さん!
今日1日は卒業できた喜びに浸ろう、そして明日からは「これからが勝負」と思って頑張ろう!


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