府立も私立も同一日入試を!


 大阪府立高校の2024年度入試の出願状況である。普通科79校(専門学科・単位制を含む)のうち、34校が定員割れである。なんと、普通科の43%が定員割れだ。その一方、倍率が1.2倍を超えた普通科は、6校しかない。実業系高校21校では、定員割れが17校、81%に上る。総合学科は、10校中8校の定員割れになった。定員割れした学校の多くは、生徒の急増期に新設された学校が多いが、戦前から設置されている伝統校も定員割れをしている。大阪府民からすると、衝撃である。文理学科を設置する学校10校は、全て定員を超えた。そして、10校中8校が1.2倍を超える人気校になっている。定員を超えた学校は、まだ大阪府が9つの学区に分かれていた時の1番手校、2番手校、そして大阪市内の通学に便利な学校が中心だ。
 この要因は何か。吉村知事が打ち出した私学無償化である。金銭的問題がクリアすれば、施設も充実し、特色がはっきりしている私立高校に受験生が集まるのは当然だろう。もう、校長の経営力でどうにかなる問題ではない。あまり知られていないのだが、大阪府では条例が制定され、3年連続定員割れを繰り返したら、再編対象になる。再編とは、高校の合併による廃校である。この吉村知事の私学無償政策の前までは、校長は自校が定員割れしないように様々な努力をしてきた。しかし、再度言おう。もう校長の力ではどうにもならない。教育庁が大胆な手を打つしかないだろう。そうでなければ、大阪府の伝統校さえ消えていく羽目になる。

 さて、どうするか。大阪府の教育振興計画には、「公私の切磋琢磨」が重要方針として記載されている。公立高校と私立高校で互いに競争しながら、よりよい教育をめざそうというものだ。キレイごとである。要は公私による生徒獲得競争なのである。ところが、この競争が平等な競争となっていない。なぜなら、入試日程が違うからだ。大阪府では私立高校は2月中旬、府立高校はその後の受験になっている。もう、この受験日を同一日で実施するしかないだろう。これで、やっと生徒獲得競争が平等化される。公立も淘汰されるなら、私学も淘汰されるべきだ。これだけ、府民の税金をつぎ込んでいるのだから、十分な教育が行われていないと思われる私学には、退場してもらうしかない。

このまま黙っていると、府立高校はどんどん消滅するだろう。平等な競争をさせろ!と声を上げる時期が来ているのではないか。

資料:2024年度大阪府立出願状況(赤は定員割れ 緑は倍率1.2倍以上の高校)


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