果たして「ヒロシマサミット」は大失敗か?


ヒロシマサミットが終了した。前にも書いたように、G7という核保有国、インド、ブラジルなどのグローバルサウスと呼ばれる国々などが被爆地ヒロシマに集結し、そして実際に原爆資料館を見学したのは、大きな一歩であると思う。今まで核保有国の首脳で原爆資料館を訪問したのは、オバマ氏だけでないだろうか?それも原爆資料館を訪問した時間は10分ほどらしい。それに比べると、今回の訪問は40分ほどに及び、被爆者の方からの説明を受け、実際首脳たちは多くの質問をしたと報道されている。平和への思い、核軍縮・核廃絶への思いは、ここからスタートするのではないだろうか。
 しかし、被爆者の方々にとっては今回のヒロシマサミットは不評のようだ。「G7広島サミットは大きな失敗だった。首脳たちの声明からは体温や脈拍を感じなかった」「武器支援のことばかりで、話し合いによる解決策が聞こえてこない。広島でそうした話をされるのはうれしくない」とサーロー氏はコメントしている。長年、核廃絶の運動にかかわってこられた方からすれば、満足のいくものではないだろう。確かにその心情は、十分に理解できるし、核廃絶どころか、核軍縮に向けた議論も行われなかった。この意味で、ヒロシマサミットは不十分と言えなくもない。ただ、「サミットは大きな失敗だった」と言い切っていいのだろうか?核廃絶・核軍縮の道は、そう簡単なものでないことは明らかである。それ以上に、今は「プーチンによる核の威嚇」に世界は直面しているのである。まずは、「核を使用させないために何が必要か」ということが重要である。それが、ウクライナへの武器供与であり、ロシアへの反転攻勢からロシアの軍事的敗北であろう。この後に、どのような世界情勢が展開されるか、誰もがわからない。しかし、しかしである。その時こそ、G7はじめ多くの核保有国の首脳が、2023年5月にヒロシマを訪れ、原爆資料館を訪れ、慰霊碑に献花した意味が生きてくると思う。まずは、ヒロシマを訪問し、核使用の後の世界がどのようなものなのか、それを実感してもらったことに感謝を述べること、そしてこの経験を絶対忘れないでほしいということを表明することが大事なのではないかと思う。


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