通信制高校に思うこと


私の机の上に、「高卒進路」という雑誌がある。2024年新春号だ。サブタイトルが「進路多様校のための進路応援マガジン」である。内容は、なかなか興味深い。今月号の特集で「急増する通信制高校生」が組まれていた。内容を簡単に紹介する。

・通信制高校が、1990年には84校であったのが、2022年には273校に急増。私立の通信制高校は、17校から195校に増加。生徒数は7万人から18万4千人。高校生の13人に1人は通信制高校に通っている。
・通信制高校の卒業後の進路については、全日制・定時制のそれとは大きく異なる。進路未決定とみられる「左記以外の者」が全日制・定時制が4.5%であるのに対して、通信制では31.5%に上る。

簡単に言えば、通信制高校の生徒は急増しているが、卒業後の進路については「未決定者」がかなり多いということだ。ここに通信制高校の最大の課題がある。1年近く通信制高校に勤めて、同じような感想を持つ。私がチューターをしている生徒は、1年次生~3年次生まで合わせると50名近くいる。そのうち、3年生は14名だ。大学に進学する者、専門学校に進学する者は積極的に相談に来る。しかし、それ以外の生徒は全くといって卒業後の進路相談がない。確かに、通信制高校は、「高卒資格を得られる最後のセイフティネット」である。今の世の中で、高卒資格は最低基準であろう。その意味で、通信制高校の社会的存在意義は大きい。一方、資格は得たが社会でどのように生きていくのかという力まで育てられているかどうか、この点において通信制高校の大きな課題があるのではないか。スクーリングとレポートと試験、この基準をクリアすれば単位が取得できる。果たして、その結果、どんな生徒が育ったのかと考えなければならない時期にきているのではないか。考えさせられるデータである。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP