人口戦略会議は「工程表」をしめせ!


 読んでいて腹が立った。2月号の中央公論に人口戦略会議が提言した「人口ビジョン2100」の全文が掲載されていたのだ。概略は読んだが、この際、読んでみようと思って買った。2100年には、人口が6300万人半減するという試算から、緩やかな人口減少で「人口8000万人の安定した社会」をめざすという提言である。
 この社会を実現するために、柱として①人口減少を緩やかにするための定常化戦略②人口が今よりも少なくても強靭で多様性に富んだ社会をめざす強靭化戦略の2つを示している。この2つの内容がどんなものなのか、興味があったので読み進んだが、読めば読むほど腹が立ってくるのだ。その原因は、「こんな社会、みんな考えているわ!やろうと思ってもできていないのが問題なんだろう!これでは、理想を語るが実現が難しいで終わるわ!」というものだ。
 例えば、定常化戦略の項目には、こういうものが並ぶ。
・若者世代の「所得向上」と「雇用の改善」
・「共働き・共育て」の実現
・多様な「ライフサイクル」の選択
・若い世代の健康管理を促す「プレコンセプションケア」
・安心な出産と子どもの健やかな成長の確保
・子育て支援の「総合的な制度」の構築と財源確保
・住まい、通勤、教育費など(特に「東京圏」の問題)
どう思いますか、みなさんは。「できたらいいよなぁ」と思うでしょう。この各項目の説明にも、どうすれば実現するかというよりは、その意義と必要性が述べられているだけで、実現に向けた道筋が書かれていないのだ。これでは、提言も「絵に描いた餅」と一緒である。

ここまで提言を読んで、もう読むことを止めた。内容が無いうえに、「移民政策はとらない」と偉そうなことを言っているのである。だったら、この2つの戦略ー「定常化戦略」と「強靭化戦略」ーを実現する「工程表」を示せと言いたい。この時点で何を行い、どのような政策をいつまでに行うのかを示さなければ、提言とは言えないだろう。

人口戦略会議の皆さん、仕事はまだ終わっていませんよ。日本の大改造をもたらす提言を行ったのですから、最後まで責任を持ってください。直ちに「工程表」の作成に着手してください。


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