進路選択はこれで良いのだろうか?


 1月12日、読売新聞に大学入試状況の解説が掲載されていた。安定志向で医学部が人気らしい。経済の先行きが不安定なために、理系で頭が良かったら、医学部へという判断らしい。保護者の意見も、

「企業に就職しても先がどうなるか分からない。息子の同級生も、理系ならばまずは医学部を志望する生徒が多い」

となっている。安定志向=医者、そして高収入という発想のようだ。果たしてこれで良いのだろうか?

疑問点1:果たして自分は医者という職業に向いているのか
医者という仕事は、言うまでもなく人の命に関わる仕事であり、高い使命感が求められる。果たして、そのような職業に「高収入で安定しているから」という理由だけで選択して良いのだろうか。もっと己の特性を検証してから職業選択をするべきではないか。進学実績トップ校は、進学実績に拘るため、優秀な生徒に医学部を薦めると聞く。これでは、キャリア教育は無いに等しい。せめてホランドの職業選択調査だけでも実施すべきだろう。

疑問点2:安定志向をめざす人材にポストモダンを乗り切れるか
更に、安定志向をめざすという発想にも疑問がある。この発想は特に保護者にあるのだろう。親心としては「子どもに苦労をさせたくない」と思うのも当然だ。だが、医者という職業が「絶対安定」というものでもないだろう。過酷な勤務状況から自死に至るケースもあり、問題視されている。更に、一番の問題はポストモダンはVUCAの時代だということだ。私がVUCAという言葉を使いだしてもう10年近くになる。使いだした当初は、この言葉を聞いた教師も生徒も保護者も「?」だっただろう。しかし、今やウクライナ戦争、中東紛争、中国の覇権主義、日本の国力の相対的低下とVUCAそのものの時代に突入した。こんな時代に、優秀な人材が安定志向で良いのかと思う。

このように考えると、優秀な人材ほどVUCAの時代に立ち向かってほしいと思う。キャリア教育の充実により意欲を持って仕事に取組む人材に育ってほしい。優秀な人材ほど「ノブレス・オブリージュ」の精神を身につけてほしいと思うのだが。優秀な能力を社会貢献に使ってほしいと思う。


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