足元が見えているのか?人口戦略会議提案

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 1月9日に、人口戦略会議が政府に提言した。将来的に急激な人口減少が起こり、日本社会が急激に変化する、そのためには人口8000万人の日本社会を維持すべきだという提言である。そのために何をすべきか。人、特に若者への投資などの内容は、今まで語りつくされてきたように思い、あまり新鮮味が感じられなかった。提言内容は、もう議論する段階ではなく、如何に政策として実行するかという段階にきているのだろう。
 私は、移民政策に興味があるので、どのように提言をしているのか、マスコミでは報じられていないので、提言の概要を読んでみた。それが以下の内容である。

人口減少を「補充移民」という形では行うのは良くないというのである。「社会の安定性にも大きな危惧」があるらしい。確かにドイツやイギリスのような例があるので、日本社会特有の文化が変質する恐れや、〇〇タウンなどが形成され、社会に不安をもたらすことは危惧される。そのうえで、提言は、
①成長力を強めるという長期的視点からみると、労働目的で受け入れるべき外国人は、「高度または専門的な人材」を基本とすべき。入口の規制だけでなく、入国後の「人材育成」の視点が重要。
②非高技能外国人については慎重な検討が必要。低賃金の外国人受け入れの議論の前に、DX等の導入も含め、生産性の低い企業、産業、地域をいかに構造改革していくかという課題が問われる。
③外国人労働の悪質事例の是正のため、管理の徹底、監視体制の整備、相談窓口の整備が必要。現在、技能実習制度などの見直しが進められているが、非高技能者の割合が高まることがないよう留意すべき。

というのだ。日本社会に役立つ高度な能力を有する人は、どんどん来てほしいが、低能力の人はこれ以上来てもらわなくて良いというのである。ちょっと都合が良すぎないか。技能実習生の劣悪な労働環境が問題になっている中で、「あなたは能力が低いから、日本に来なくていいですよ」なんて言える余裕が日本にあるのかと思う。また、能力の高い人が、日本で働くことを選ぶだろうか。かなりの高収入を提示しなければ日本に来てくれないだろうと思う。どうも、この提言、現実がわかっているのだろうかと疑いたくなる。

 今の日本を見たとき、海外の人材が日本を選ぶ魅力があるのだろうか。日本は「あれはダメ、これはOK」というような選択ができる立場なのかといいたくなる。

 


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