学校関係者評価ー学習活動


今回は、総論の続きとして各論に移っていきたいと思います。
今回は学習活動です。この項目は、高校のカリキュラム設定が適切か、学力のつく授業が多いか、進路選択に必要な科目が設定されているか、などの設問がよく行われます。私は、赴任した高校でこの項目を検証するときに、2点注目しました。一つは、「学校の授業だけで進路実現に必要な力がつく」という設問です。この設問は、ある進学校に赴任した時に目にした設問でした。教員時代から初めて「進学校」と言われる学校に赴任したので、すべてが目から鱗状態でしたが、これもその一つでした。この設問への生徒・保護者の肯定感は、決して高くありません。しかし、あえてこのような教員にとって厳しい指摘になるであろうと思われる設問をアンケート調査にいれるという進学校としての矜持に、ある種の感動を覚えたことを記憶しています。それ以来、進学校を自認する学校に赴任した時は、この設問を必ず追加しました。先生方は、大体自分の授業で生徒の進路実現に対応できると思っておられる方が多いのですが、この設問に関する評価は、なかなか手厳しいことが多いです。先生方にとっては、自分の授業を振り返るよい機会になると思います。
 次にこだわった設問は、「思考・判断・表現」という新しい学力観を育成する授業がどれだけ実施されているかというものです。また、違うところで論じたいと思うのですが、現在実施されている現行の学習指導要領は、今までの学力観を根底から突き崩し、180度ひっくり返してしまいます。それゆえ、学校現場にはなかなか浸透しにくいのです。だから、これを一挙に覆そうとしたのが、高大接続改革なのですが、「挫折」という結果になってしまいました。しかし、世界の教育の流れは、明らかにコンテンツベースからコンピテンシーベースに変わっているのです。この挫折を受けて、「また日本の教育は10年遅れたな・・・」と思いました。しかし、ちょっとでも新しい教育観に基づく授業実践を進めなければならないと思い、「物事を深く考えたり、判断したり、発表する機会が多い教え方を工夫している先生が多い。」というような設問を追加しました。他の学習に関する設問よりも肯定感が低くなるというのが、私の経験です。そういう結果を受けて、先生方に問題提起をするというのも校長のリーダーシップの一つではないかと考えます。


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