やはり、プーチンはとんでもない男だ

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 年末にNHKBSで「世界のドキュメンタリー」の再放送があった。テーマは「プーチンと西側諸国」というテーマ、全3回である。録画していたので、1日1回ずつ観た。内容は
 第1回:クリミア併合・ミンスク合意
 第2回:アラブの春・シリアを巡る攻防
 第3回:ウクライナ侵攻
である。内容に関するテーマは、私が勝手につけたものなので、ご容赦を。3回を見終わった感想は、「プーチンとは、とんでもない男だ」ということだ。
 このドキュメンタリーには、イギリス・フランス・アメリカ・ドイツ・バルト3国・NATO・ウクライナの首脳レベルとロシアのプーチン以外の首脳のインタビューが盛り込まれている。びっくりするのは、イギリスである。歴代の首脳がインタビューに応じているのだ。それも現在進行形の国際政治に関して。「歴史」の「れ」にも到達していない内容である。キャメロン、メイ、ジョンソンという歴代首脳である。また、フランスのオランド元大統領もインタビューに応じていた。オバマ・トランプ・バイデンという元・前・現の大統領も登場するが、さすがにインタビューには応じていなかった。とはいえ、その側近たちは、国際政治の裏側について語っていた。
 西側の首脳たちが、異口同音に語るのが、プーチンという男が、「とんでもない男である」ということだ。
・嘘をつきとおす
・しらを切る
・証拠を突きつけても認めない
・相手国の首相・大統領を脅す
というものだ。例えば、クリミア半島の併合の時、西側が抗議の意思を示したとき、プーチンは何と言ったか。
「クリミアにいる兵士は、ロシアの兵士ではない」
ミンスク合意が成立し、停戦が成立してからもロシアは、停戦を行わず、ドンバス地方の重要拠点を制圧した。
シリアで化学兵器が使用されたとき、その証拠を突きつけたメイ首相に対して、プーチンは「そんな証拠を、私は見ていない。知らない」としらを切りとおした。とんでもない男である。メイ氏は、「我々の常識が通用しない人物である」とプーチンを評した。

 プーチンにとって、ソ連の崩壊が「20世紀最大の地政学的悲劇」というのなら、プーチンという男が「核大国の独裁者に居座っていること」は、国際政治の最大の悲劇だ。西側諸国が、様々な点でプーチンを説得し、思いとどまらせ、事態を悪化させないための努力を重ねていることがよく理解できた。その西側諸国を、プーチンはエネルギーと核で脅しているである。イギリスのキャメロンとメイ、両首相が後悔を口にしている。一つは、クリミア半島の併合時、もう一つはシリアのアサド大統領が化学兵器を使用した時である。いずれも、法による支配を破り、レッドラインを超えている。このとき、西側諸国は、ロシアに対して徹底して抗議し、制裁し、プーチンの意志を打ち砕くまで戦わなかった。そして、プーチンは学んだ。「西側は強く打って出ることはできない」と。それが、現在のウクライナ戦争に結びついている。

 さて、このドキュメンタリー、BBCが作成したとはいえ、日本の首脳は全くと言っていいほど登場しない。G7・G8でちらっと日本の首脳が画面に映るだけである。なんともさみしい話だ。これが国際政治の中での日本の位置なのだろう。日本の報道ばかり見ていると、わからないことばかりである。


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