茶々の最後の言葉


 12月17日に最終回を迎えた「どうする家康」の燃える大阪城で、茶々が放つ最後の言葉が強烈だった。多くの人がSNSで投稿しており、インパクトの大きさを物語っている。見ていない人もいると思うので、茶々(北川景子)は何を言ったかを以下に掲載する。

「つまらぬ国になるであろう」
「正々堂々と戦うこともせず万事長きものに巻かれ、人目ばかりを気にし、陰でのみ嫉み、あざける」
「やさしくて、卑屈な、かよわき者の国に」


これに対して多くの人が、「現在の日本を言っているようだ・・・」とか「茶々様からの現代へのメッセージか・・・」と述べている。まさにそうなのだろう。戦国の夢をみた人たちにとって、今の日本人が如何に腑抜けであるか、見事に言い当てている。
 この大河ドラマ、弱くて泣き虫な家康君が、家臣団に支えられ天下人に登りつめる物語である。徳川四天王をはじめ、多くの家臣団の「忠義」がそれぞれの人生のスタイルで描かれている。それはそれで、面白かった。特に本田忠勝の「主君とは認めん」というのは、面白く描かれていたと思うし、山田君はよく演じたと思う。しかしである。市と茶々の二役を演じきった北川景子の演技は、素晴らしかった。よくぞここまで、役者として成長したなと思う。

 ところで、司馬さんの作品で江戸時代をテーマに書かれた小説は、数が少ない。江戸時代に魅力を感じなかったようだ。皆さんがご存じのように司馬さんが小説を書こうと思ったのは、敗戦がきっかけである。「なぜこんな馬鹿な戦争をはじめたのか。日本人とはこれほど愚かなのか、違うだろう!」という思いである。そして司馬さんの小説の題材になったのは、戦国時代と幕末、そして明治である。この大坂の陣も「城塞」という小説に書かれている。もし、司馬さんが生きていれば、この茶々のセリフをどのように評したかと思う。

 本当に、日本は「つまらぬ国」になった。SNSが流行する中でネットの陰に隠れて「嫉み、あざける」ことが横行している。Show the flag!の日本人はどれだけいるだろう。旗を掲げる者はほんのわずかだが、旗を掲げた者を攻撃する者は数多いる。それがいまの日本だ。


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