PISA2022結果…これではわからない

,

 12月6日の新聞には、PISAの2022年結果が大々的に取り上げられた。毎日新聞などは、トップで報じている。数学リテラシーも科学リテラシーも読解力も前回の2018年調査よりも順位が上昇している。喜ばしいことであるが、果たして手放しで喜んでよいのか。多くの識者がコメントしているように、新型コロナウイルスによる休校という状況を考えなければならない。ドイツは、「3か月以上休校」の割合が71.3%と高く、前回よりも3つ順位を落としている。OECDのアンドレス・シュライヒャー教育・スキル局長も「休校と学力低下に相関はある」と認めている。本当に、新しい学習指導要領が日本の生徒の学力を向上させているのかは、次回の2025年調査結果を待たないとわからないだろう。

 PISAの結果とは少し離れるが、「三か月以上の休校」の世界平均が50.3%に対して、日本の平均は15.5%という数値にはびっくりした。新型コロナウイルス蔓延の下、日本も学校を休校にした。大変な状況であったが、世界はもっと大変な状況だったのだとこの数値は物語っている。分散登校、オンライン学習など、日本の教育行政は頑張ったと言えるのではないか。マスコミもこの点をクローズアップしてほしいと思う。ただ、
「今後、あなたの学校が再び休校した場合、以下のことを行う自信はどれほどありますか。」
という質問に対して、自信があると回答したのは、半数に到達しない。世界との比較が掲載されていないので何とも言えないが、決して高いとは言えない。日本の若者の主体性に関する課題であろう。

 少なくとも、現行の学習指導要領は、世界の教育の流れと合致している。知識・技能重視の教育を受けてきた教員の意識変革がどこまでできるか、特に高校段階がポイントだろう。小中学校で「主体的・対話的で深い学び」の教育を受けてきたにも関わらず、高校で旧来型の教育を受けて大学に進学するようでは、教育効果は生まれない。問題は、高校教育と大学入試だろう。新しい学習指導要領での大学入学共通テスト、そして各大学の入試問題がどのように変わるのか。楽しみである。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP