GIGAスクール構想の影響か?!


 大阪府と東京都の学力差が、家庭の教育力の差ではないかと考え、平日の勉強時間の変遷を調べた。その結果、おもしろい事が分かった。
1.小学校
 ①全国学力・学習状況調査が開始されてから、ずっと「30分未満+全く何もしない」の割合は、大阪府が高い。
 ②「2時間以上」の割合も東京都の方が高い。
 ③コロナ禍前までは、「30分未満+全く何もしない」は緩やかな減少傾向にあり、「2時間以上」は、逆に増加傾向にあった。
2.中学校
 ①「30分未満+全く何もしない」の割合は、ずっと大阪府が高い。これは小学校と同じである。
 ②「2時間以上」については、2015年度まで大阪府の割合が高かったが、2016年度には東京都の方が高くなり、逆転された。その後、コロナ禍までは、東京都と大阪府の割合は、抜きつ抜かれつの状況である。
 ③コロナ禍までは「30分未満+全く何もしない」は小学校と同様緩やかな減少傾向である。
 ④ところが、「2時間以上」については、2016年度まで大阪府は減少傾向が続いているが、東京都はほぼ横ばい状態。2016年度で、大阪府は大きく落ち込んでいるが、逆に東京都は横ばいから増加傾向に転じた。
 2016年度に何が大阪府で起こったのかと思うが、それ以上に明確な動きを示しているのが、コロナ禍後の動きだ。
★小学校では、「30分未満+全く何もしない」割合が、大阪府も東京都も急上昇し、過去最高値に達している。
★中学校では、コロナ禍後すぐの2021年度には、「30分未満+全く何もしない」が、過去最低値になっているが、その後、大阪府も東京都も急上昇し、大阪府は過去最高値を示している。
★小学校では、「2時間以上」の割合は東京都は「横ばいかやや減少か」という状況だが、大阪府は明確に減少傾向を示している。
★中学校では、「2時間以上」の割合が東京都も大阪府も過去最高値を2021年度に示すが、その後急落していく。東京都は、ほぼコロナ禍前の水準に2024年度に戻ったが、大阪は急落度が大きく、過去最低値を示している。
以上のことを示したのが、以下の4つのグラフだ。

コロナ禍の前と後では、大阪府と東京都では、平日の勉強時間に大きな変化がある。これは、2自治体だけの動きなのか、全国のデータを検証してみた。それが次の二つのグラフだ。

ほぼ、2自治体と全国の動きはリンクしている。コロナ禍の前と後で何があったか。学校現場に大きな影響をもたらしたのは、長期期間の休校だ。だが、その時の2020年度のデータはない。学校が再開され、学校現場に急速に普及されたのが、一人一台端末である。いわゆるGIGAスクール構想だ。このプロジェクトが、児童・生徒の学び方に大きな影響を与えているのではないかと考えられる。全国の結果を見ても、「30分未満+全く何もしない」割合は、急上昇しており、「2時間以上」の割合は、減少傾向にあるのだ。

 新たな学びをもたらすためのツールである「一人一台端末」で、個別最適化教育にも効果があると考えられているにも関わらず、このツールのために、日本の子どもたちの学習時間が減少しているとすれば、由々しき事態ではないかと思う。更なる専門家の分析が必要だろう。

 ちなみに、大阪府と東京都の平日における学習時間の差であるが、コロナ禍までは、差が縮まる傾向にあったが、コロナ禍後は、差が拡大する傾向にある。これを示したのが、次のグラフである。 

これも家庭の教育力の差の現れなのか。コロナ禍によって、より家庭の教育力が問われる事態になったのではないかと思うが、果たしてこの仮説が正しいのか、専門家の研究が必要だろう。


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