3月25日、大阪府立高校は二次募集を締め切った。その結果、79校の定員割れが確定した。「寝屋川ショック」と言われた寝屋川高校は、22人の募集枠に4人の出願があった。同じく伝統校である鳳高校は16人の募集枠に4人の出願があったが、八尾高校は出願者がいなかった。伝統校は定員割れだ。文理学科の高校は、いずれも定員を超えているが、文理学科を不合格になっても、いわゆる「二番手校」にはいかず、私立高校に進学するという流れがはっきりした。これが、高校無償化の大阪での「社会実験」の結果である。この状況が続けば、来年には「3年連続定員割れ」による再編対象校が大量に出ることになる。大阪府教育庁は、一体どのように対応するのだろうか。寝屋川高校や八尾高校は、クラス減で対応できるが、鳳高校はどうするのだろうと思う。戦前からの伝統校が再編対象になれば、卒業生も含め多くのステークホルダー(その中には、日本維新の会の前代表馬場氏も卒業生)が動くだろう。馬場氏にとって、「身を切る改革」が母校の血を流すことになるとは、思いもよらなかったのではないだろうか。今後の動きを注視したい。
さて、私は今、「新自由主義と教育改革 大阪から問う」(大阪大学 高田一宏著)を読んでいる。半ばまで読んだ。この本は、大阪維新の会の橋下氏が府知事になる前と知事になってからの教育改革で、大阪に何が起こり、どんな結果をもたらしたかということを、タイトルにもある”新自由主義”という横ぐしで検証したものだ。”新自由主義”とは、市場原理を優先し、政府や行政の介入を極力抑え、公よりも民を優先するという考え方である。大阪府でこの思想の下に、教育においても様々な改革がなされた。
元々大阪は、同和教育の盛んな地域で、その理念は社会的ハンディがある子どもたちに、教育投資を行うことで教育格差を縮小することにある。私も大学生の頃から同和教育に関わり、様々な実践を学んだ。ところが、大阪維新の会が登場してから、新自由主義的手法により、教育格差が拡大する傾向にあるというのが、高田氏の主張だ。この本を読んでいると、私の教師人生を辿るような感覚を覚え、なかなか面白い。ただ、高田氏の主張に全面的に賛同するわけではない。読み終えた時点で、コメントしたいと思う。
なぜ、”新自由主義”を持ち出すかと言うと、大阪維新の会が、”新自由主義路線”を徹底しないからだ。教育基本条例により、「3年連続定員割れをすれば、再編対象」というのは、合理的である。府民のニーズが乏しいところに税金を投入するのは不合理だからだ。だが、何回も言っているように、高校無償化は、公立高校と私立高校の金銭面での「壁」を取っ払ったが、生徒獲得競争においては、私立高校優先という壁があるのだ。定員割れ問題は、生徒獲得競争問題なのだ。公立高校は、私立高校入試の後に実施されるために、決定的に不利な状況で生徒獲得競争が行われているのである。その結果、廃校になるのは公立高校のみという状況になるのだ。大阪維新の会が、新自由主義を貫きたいなら、徹底しろと言いたい。大阪私立中学校高等学校連合会に圧力をかけ、公立高校と私立高校の同日入試を基本とする制度設計を行うべきだろう。ここまで行って、初めて市場原理が正統に機能する。
大阪維新の会よ、新自由主義を貫きたいなら、徹底して行え!公私の同日入試を実現しろ!
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