1+1≧2になるか?

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 5月7日の読売新聞、教育ルネサンスで「変わる担任制」が掲載された。初回の今回は、「正担任2人」という内容だ。その例として、鹿児島県鹿屋市立鹿屋女子高の実践が紹介されていた。2021年から2人担任制を1年生で導入しているというのだ。きっかけは、やはり「高1クライシス」ということで、高校の生活に慣れるための対策らしい。必ず、男女で担任を組むという。
 生徒にとってのメリットは、やはり相談できる先生の選択肢が増えるという安心感だ。教師にとってのメリットは、担任の仕事を分担できるということだろう。担任が一人の時は、なかなか休むことができない。しかし、二人だと互いにフォローし合いながら、仕事を続けることができる。ところがデメリットもある。クラスの事などを中心にした情報共有が、常に必要だということである。私もある高校で、2人担任制を経験したことがある。私は、幸運にも2人担任制のデメリットを感じたことはなかったが、うまくいかないケースもある。あまりにも学校やクラスがしんどく、指導困難な状況になると、「誰が指導するのか」という問題が起こるのだ。そうすると、正担任の中で「押し付け合い」が発生してしまう。担任2人に責任があるということは、両者が「あなたにも責任があるよね」と思ってしまうと、押し付け合いになるのだ。この現象は、特にLHRで発生してしまう。誰が、出席簿を取って教室に向かうのか、出席簿を取る担任がLHRを運営しなければならないのだ。体育祭や文化祭という大きな行事になると、余計に押し付け合いが発生する。この現象のために、精神を病んだ先生もいた。生徒に神経を使う以上に、教員にも気を遣うのだ。

 正担任2人制は、やりかたによっては、1+1≧2になる。しかし、一旦歯車が回らなくなると、1+1<1にもなってしまう可能性があるのだ。中々性善説では、持続可能性が保てない面もある難しい制度である。


“1+1≧2になるか?” への2件のフィードバック

  1. 西田隆之のアバター
    西田隆之

    人との繋がり、協働を叫びながら、教師自身、協働できないのが今の現実。でも、トライ&エラーを繰り返して変わっていかないと、世の中から乖離した、個業職種の化石になるように思います。

  2. yoshichika1121のアバター
    yoshichika1121

    コメント、ありがとうございます。教師は個人商店の様なところが、たぶんにありますよね

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