高校無償化巡る3党協議


 高校無償化を巡る自民、公明、日本維新の会の実務者協議が10月3日、国会内で開かれ、無償化の対象範囲など制度設計に向けた議論が交わされた。この中で、外国籍の生徒については日本への定着が見込まれる生徒を対象とすることや、広域通信制の生徒は全日制とは別に就学支援金の上限額を設定して支援する方向でおおむね一致したという。だが、根本的なことが抜けていないか?

 それは、今回の広陵高校野球部などのように、暴力・暴行・いじめ・暴言などの不適切な教育を行っていた私立高校への税金の投入の是非である。大学の私学助成についても、大学の経営に関する不祥事などが発生すれば、私学助成は停止される。同じように、私立高校にも、不適切と思われるような学校経営(例えば、受験生の水増し等)やいじめ・暴力事件などの重大事案の発生や不適切な教員の指導が発生した場合は、高校無償化の措置を改善するまで停止するという事が必要だと思うのだ。

 しかし、このことが一向に議論にならない。どこの政党も言わない。なぜだろう。不思議で仕方ない。公立学校は、教育委員会の管轄下にあり、何かと教育委員会からうるさいことは言われるが、それでも法的拘束力があり、教育委員会の監視もある。学校現場がおかしなことをすれば、保護者は教育委員会に物申すこともできる。ところが、私立学校は知事監督下に置かれているとはいえ、公立学校ほど厳しい監督下には置かれていない。一部自治体では、知事が教育委員会に権限を委譲し、教育委員会の監督下にある。

大阪府は、私学課が私立学校を監督している。しかし、今回重大事案を起こした広島県の広陵高校は、環境県民局の下にある学事課という部署である。この部署、どれだけ教育の事が分っているのだろうか。学事課は、私立学校だけではなく、県立大学、宗教法人も管轄している。教育委員会の膨大な仕事量から考えて、私立学校の教育内容にまで踏み込んだ管理をできているかは疑問だ。

私立高校の無償化は、税金をつぎ込むのであるから、その私立高校が生徒や保護者のためになる教育を行っていなければ意味がない。どこかの政党が、国会審議で追及してほしいと思う。


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