高校無償化の強烈な副作用


 3月7日に2025年度の一般入試の願書受付が締め切られ、半数の公立高校が定員割れになったことは、このブログでも伝えた。ネット上では、戦前からの旧制中学校の流れをくむ寝屋川高校・八尾高校・鳳高校の定員割れが大きく取り上げられている。

「異常事態です」大阪公立2番手校で、まさかの倍率1倍割れ 寝屋川ショックに広がる波紋

 まさかの伝統校の定員割れなのだ。それほど私立高校志向が強まっているという事だろう。ただし、記事にもあるように、寝屋川高校、八尾高校は、過去に高い倍率を示したために、定員を増加している。確実に次年度の入試では、定員減がなされるだろう。これでも定員割れを起こしてしまえば、それこそ一大事と言える。問題は、鳳高校だ。全日制単位制の学校で、科目選択を通じたキャリア教育に力を入れている学校と記憶している。私が泉陽高校の教頭をしている時に、鳳高校の学校説明を聞いた聞いたことがあるが、その時もキャッチフレーズは、「進路選択は科目選択、科目選択は進路選択」というスローガンで、安易な科目選択や進路選択をさせず、じっくりと考えさせる取り組みが行われていた。単位制でなくとも学ぶべき点が多い学校と私は思っていた。その時から10年以上は経っているが、そういう学校が2年連続の定員割れの状況なのだ。来年定員割れを起こしてしまうと、大阪府の教育基本条例の関係上、再編対象校となる。鳳高校は、普通科から単位制に再編された学校であるので、廃校も視野に入れた再編が行われる可能性もある。厳しい状況だ。

 ニュースを見ていると、早くも「私学志向強まる」という状況で、各都市で私立高校を希望する動きが活発化しており、塾などはその対応に追われているという。高校だけではなく、私立中学校希望も増えているという。授業料がかかっても、教育の質が高い(と思われている)私立中学校に進学し、中高一貫を考えているのだ。
 これに比して、廃校が決まった泉鳥取高校が取り上げられていた。大阪府阪南市にある唯一の公立高校である。令和7年3月31日をもって、府立りんくう翔南高校と統合されてしまうのだ。ニュースでは、全校上げて広報活動を行い、教員が中学校訪問を行ったこと、地元の防災活動などにも積極的に参加したことなどが報道されていた。こういう貴重な取り組みをしている公立高校も、高校無償化で廃校になるのである。これで良いのかと思う。

専門家は、この政策の検証が必要だと言っている。確かにそうだが、もうこの政策の結論は見えている。
①公立高校潰し
②私立高校の延命
だ。検証している間に、取り返しのつかないことになるだろう。高校無償化を進めるのなら、私立高校も府立高校も同日入試を行い、生徒獲得競争を同じ土俵で行うべきだ。これで初めて市場論理に元ずく正当な競争原理が働く。このようなことを誰も言っていないが、これがまずは必要ではないか。


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