2025年度の予算審議が大詰めを迎えている。立憲民主党、国民民主党、日本維新の会がそれぞれ予算修正を求めており、政府与党も修正協議に応じている。その中で、最も焦点化しているのが、日本維新の会が求める「高校無償化」である。維新の求める63万円か、私立の全国平均の45万7000円かという隔たりはあるが、おそらく決着が着くであろう。問題は、ここからだ。
大阪府の高校無償化のように、何でもかんでもお構いなしに私立高校に助成を行うのかという問題だ。日本大学の末富教授が指摘するように、いじめの重大事案が発生し、高校の対応に問題がある学校に助成を行うのか、経営に問題がある私立高校に助成を行うのかという問題だ。すでに大学への私学助成では、不祥事を起こした大学への助成金打ち切りという事が行われている。日本大学然り、東京女子医科大学然りである。高校の無償化についても、教育内容に問題があったり、経営に問題があるような高校には助成の停止を行うというルールが必要だ。
私立高校は、都道府県の管轄下にある。やはり自治体が行うべきであろう。そうだとすれば、高校無償化の先進自治体である大阪府や東京都が、率先して助成のためのルール作りを行うべきだ。ルール作りを行わなければ、問題のある私立高校の延命に手を貸すことになってしまう。吉村知事をはじめ、大阪維新の会は助成に関するルール作りを行ってほしい。
また、私立高校の無償化により公立高校の志望が減ることも問題視されている。当然だろう。全国で私立高校が無償化されてしまえば、全国レベルで大阪府のように公立高校の定員割れが起こるのだ。地方の公立高校はすでに定員を満たしていない学校が多数あり、廃校の是非が論じられている。高校が町から無くなることは、「町の存亡」に関わることなのである。おそらく、地方だけではなく、都市に近いところでも同じように定員割れが起こるだろう。大阪府では、どんどん公立高校が減っている状況だ。日本の若者の人材育成を私立高校中心に担わせるという事もありうる。本当にそんな状況で良いのだろうか。もっと根本的な議論が必要だと思う。
公立・私立の同時入試を行うことで、本当に必要とされている高校が生き残っていくという事が必要ではないかと思う。
コメントを残す