高卒資格認定試験を全高校生に!

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 2月27日の読売新聞の解説に「『基礎テスト』新設私大要望」という記事が掲載されていた。記事のリードには、次のように書かれている。

私立大の団体などから、各大学が共通で使える「基礎学力テスト」の導入を求める声が上がっている。年内入試が急速に広がる中、受験生の基礎的な学力を確認したいという要望があるためだ。高校側には生徒の負担増などを懸念して抵抗感が根強いが、本格的な大学入試改革に向けた論議が「再燃」する可能性もあり、注目される。

とある。要は、少子化が進む中で総合型選抜や学校推薦型入試で、年内に大学合格を決める生徒が増えており、大学入学後に成績不振に陥り、中退する学生が目立っているという事なのだ。そりゃそうだろうと思う。いくら大学の経営のためとはいえ、「この生徒を合格させて良いの?」という生徒を、大学は合格させているのだから。入学後に大学の勉強についていけなくなるのも当然だ。

 この記事を契機に、少し考えてみた。私は通信制の高校に勤めている。通信制は、レポート提出やスクーリング、学力試験などで単位認定をする。私は数学の教師なので、レポートの内容や学力試験などを見て、「本当にこの内容で高校必修の数Ⅰの単位を認定して良いのか」と思うのだ。あまりにもレベルが低い。しかし、そんな数学Ⅰの単位も取得できない生徒もいると思えば、仕方ないのかと思っていた。が、通信制高校に通う生徒がコロナ禍以降増え続ける中で、高卒という資格の価値がどんどん下がっているように思う。これでは、将来日本の教育はどうなるのか、大丈夫なのかと思ってしまうのだ。
 だから、大学入試のための「基礎学力テスト」よりも、高卒という資格の質を担保する「高卒資格認定テスト」を高卒資格を求める全ての生徒に課した方が良いのではないかと思う。この試験に合格して初めて高卒資格を得られるというものだ。このテスト自体はすでにある。文科省が行う「高等学校卒業程度認定試験」である。公表されている数学の過去問を見てみた。「オッ!明らかに私の学校で課しているレベルより高い!」というものだ。国が認定している「高卒程度」と思われる学力よりも低いレベルで高卒資格を取得して良いのだろうか?

 高校無償化が決定し、もう高校も義務教育と言ってよい段階になり、全日制・定時制・通信制と高校も多様化・複雑化が進んでいる。高卒資格に一定の水準を設けることが必要ではないだろうか。これを導入するとなると、大きな改革になると思うが、高校無償化を受けて、高校教育の質の向上に関する議論も本格的に行われるだろう。是非、その議論の中に「高卒資格認定テスト」を土俵に乗せてほしいと思う。


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