首長と教育委員会-真鶴町


 神奈川県の真鶴町で町長と教育委員会の間で、公開質問状及びその公開回答という事が行われている。奇妙な模様だ。9月17日に教育長を除く4人の教育委員が、町長である小林伸行氏に対して公開質問状を突きつけたというものだ。質問状も回答も町長の個人のwebに掲載されているので、詳しくはそちらを見てほしい。

 発端は、町長が中学校の給食に関して早期に実現したいという施策に対して、教育長が反対したというところから始まっている。反対した教育長を任期終了で再任しないことを町長は表明した。これに対して、教育委員会が「教育の中立性の疑義」を唱えたというのが、今回の構図である。

 町長の回答書を読めばわかるのだが、現教育長は、小林町長就任以前に任命された教育長で、小林町長は、中学校の給食問題以前から教育長の交代を考えていたらしい。消滅自治体とされる真鶴町の再生には、先端教育が必要と考え、有名な教育家を教育長に迎える算段だったらしいが、どうも表現に誤解を生むようなことがあったのは確かだ。

 さて、ここからが本題だが、この首長と教育委員会の関係というのは、教育の中立性を巡って、首長サイドからも教育委員会サイドからも問題視されることが多い。そこで、改正された地教行法に照らし合わせて、小林町長の回答書を読んでみた。読んでみると、小林町長の回答書は、地教行法を踏まえた内容であることがわかる。
 例えば、
❶教育長の任命は、首長が指名し議会の承認を得ること
❷首長は、教育政策の推進に向けた予算的措置を講ずること
等である。この点を踏まえれば、小林町長の施策に瑕疵があるようには思えない。あるとすれば、
❸総合教育会議の開催
である。町のwebをみると小林町長になってから総合教育会議が開かれていないようだ。総合教育会議は、首長と教育委員会が参加して、首長の主催で開催される。ここで議論されるのは、自治体の教育大綱である。どうも、この総合教育会議で町の教育をどのようにするのかという根本的な議論がされていないように見受けられる。

 それにしても、4人の教育委員の行動は、よろしくない。町長に公開質問状を提出した際も、毎日新聞を引き連れて、いきなりの町長室来室だったようだ。やたら対立を煽るような行動である。真摯に町の教育課題を解決しようというよりは、政治的なパフォーマンスに見える。双方のコミュニケーションが重要なことは、言を待たない。制度的にも先に述べた総合教育会議があるわけであるから、そこで腹を割って話せばよい。

 しかし、事態がここまでくれば、教育長の刷新、教育委員会の刷新の方向になるのではないかと思う。

https://kobayashinobuyuki.com/index.php?AboutSuperintendentOfEducation


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