6月5日参議院文教科学委員会で、給特法の改正議論に関して、石破首相が「超勤4項目」に関して、「そのことの徹底が現場でも社会でもなされていない」との認識を示した。これどういう意味なのだろう。
質問は、立憲民主党の水岡議員が、教員の過労死問題を取り上げ、その認識を石破首相に問うたことによる。石破首相は、「学校・教師が担う業務に係る3分類」に基づく業務の精選や、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速といった学校現場の負担軽減策を挙げ、「先生方の思いを最大限に生かしながらも、過労死という痛ましいことが起こらないようにする環境づくりが重要だ」と答えた。
ここで、水岡議員が、給特法が超勤4項目を除いて時間外勤務命令が出せないとしていることを踏まえ、それではなぜ教員の長時間労働が生じている実態があるのか、石破首相の認識をただしたことに関しての答弁が冒頭の答弁である。
このことを論じる前に、立憲民主党の水岡議員は、過労死の問題に対する首相の答弁に対して、さらに突っ込む必要がある。それは、業務の精選や授業の見直し、校務のDX化だけではどうにもならない教員の勤務実態がある点であり、教員定数の増加、モンスターペアレンツなどの保護者対応の問題などに対する見解を追求しなければならない。それでこそ、野党であり、日教組を代表する立憲民主党の役割ではないか。野党の質問のレベルの低さに情けなさを感じる。
さて、冒頭に述べた首相の答弁である。
「例外(超勤4項目)というものがあって、それ以外の業務には時間外勤務を命じないと整理されているわけで、そのことの徹底が現場でも社会でもなされていないのが、実際に現状としてあるのではないか」
まず思ったことは、首相の認識はこの程度なのかという事だ。教員が本来業務を行うために、時間外在校等時間(=残業)をしているのは、当然の事実である。「実際に現状としてあるのではないか」ではなく、厳然とした事実としてあるのだ。首相は、行政の責任の長として、なぜ超勤4項目が徹底されないのか、この点について責任ある答弁をしなければならない。評論家のようなことを言っている場合ではない。
最近の給特法を巡る国会の議論を聞いていると、政府・文科省はもちろんだが、野党の質問のレベルにも失望してしまう。
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