韓国が揺れ動いている。尹大統領が突如非常戒厳を宣布し、その6時間後に解除されるという何ともお粗末な展開だ。その後は野党6党による大統領弾劾訴追案の提出、与党国会議員の退出による訴追案未成立と、韓国の政治が大きく揺れ動いている。この間、マスコミもこの話題で持ちきりだ。今回の尹大統領の非常戒厳の宣布は、民主主義国家としては許されるべきものではない。軍も国会への突入を試みたが、武力を持って民衆や国会議員を排除することはしなかった。軍の政治的中立性を堅持したと言えるだろう。過去の韓国の軍政を考えると、韓国に民主主義政治が定着したと言える。私が20代の頃には、軍によるクーデターが勃発したり、大統領が射殺されたりする国だったのだ。しかし、今でも大統領の弾劾は行われており、保守と左翼と政治勢力による「行き過ぎた政治」は行われている。
ニュースを見ていると、非常戒厳や弾劾訴追案の行方を報じているが、そもそも尹大統領がなぜ非常戒厳を宣布したのか、その根本のところを報じる報道が少ないように思う。尹大統領が非常戒厳を発したことは許されることではない暴挙であるが、そもそも尹大統領がなぜこんな賭けに(結局は暴挙に終わり自らの政治生命を終わらせることになったが)出たのかということが明確に報じられていなかった。「一体韓国の政治状況は、どうなっているのか?」と思いながら、12月7日の「正義のミカタ」を見ていると、金慶珠氏が面白いことを言っていた。この春の選挙で与党が大敗し、野党が多数派になった国会では、野党がやりたい放題やっているらしい。スタジオの人たちも呆れていたが、大統領の予算をほぼゼロにする法案を通したり、検察当局に活動させないために、予算を大幅に削減したりしているというのだ。とにかく、尹大統領を退陣に追い込むために、尹政権を機能不全に追い込んでいるという。尹大統領の夫人の不正疑惑についても、日本では大きく報道されているが、金氏によれば、「バッグを贈られたって、そんなに大きなこと?」「株の操作だって、尹大統領と結婚する20年も前の話ですよ」というではないか。とにかく、野党としては尹大統領を死に体にするために、あらゆることを引き合いに出しているという感じだ。司会者の東野氏も「そんなことなの?」と野党のやり方に唖然としていた。私も同様の感想を持った。それなら、伊大統領は、このような野党のやり方を国民に訴えれば良いではないかと思うのだが、そこが尹大統領の猪突猛進の性格が災いしたのだろう。勝算のない非常戒厳に突っ走ってしまったのだ。政治家としては未熟と言えるだろう。
さて、これからの韓国の政治情勢だ。与党は、尹大統領に引導を渡し、形勢逆転を試みようとするだろう。しかし、国会は野党が大多数であることには変わらない。今、大統領選挙が行われれば、左翼系「共に民主党」が勝つだろう。代表の李氏は、どういう外交・内政を行うのかわからないが、日韓関係が後戻りすることは十分に考えられる。北朝鮮に李氏が寄っていこうとするなら、日本は韓国との距離を置いたほうが良い。今、北朝鮮はロシアとべったりなのだから。もともと、北朝鮮は中国と濃密な関係を持っている。ロシア・中国・北朝鮮という専制主義国家に韓国が近づいていこうとするならば、日本はアメリカとの関係を強固にすべきだろう。アメリカ大統領がトランプ氏であるのが不安だが。
韓国の尹大統領、日本の石破首相、どちらも少数与党で政権は極めて不安定。どちらも先行きが見えない情勢だ。金氏曰く、「一寸先は闇」である。
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