非常に厳しい判決

, ,

 2017年3月、登山講習会に参加した高校生ら8人が雪崩に巻き込まれて死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた引率教諭ら3人に対し、宇都宮地裁はいずれも禁錮2年の実刑判決を言い渡した。非常に厳しい判決である。ニュースでも言われているように雪崩の発生が予想できたのかどうかが大きな争点であったが、判決は予想できたとした上で、注意義務違反を怠ったと判決した。更に教育活動時の集団行動下であることから、より高度な注意義務が求められるがゆえに、8人の生徒らが死亡したことを受けて、実刑判決に至ったと思われる。

 この判決は、学校現場に大きな影響をもたらす。様々な学校行事を実施するにあたり、学校関係者を委縮させることになる。読売新聞も3面全面にこの事件と判決について報じている。
 教育関係者が行うことは、第一に判決の詳細な分析だろう。何をもって注意義務違反とされたのかという点である。判決を踏まえて、各競技の専門家がどのようなことに注意しなければならないのか、競技や活動をどの段階で中止、変更、縮小すべきなのか、そのガイドラインを明らかにすべきだろう。そうでないと、現場はどんどん委縮していく。
 第二に、部活動の地域移行に伴う責任の所在だ。これは新聞でも指摘されている。この判決は、部活動の地域移行を推進するのではなく、確実に移行を躊躇わせる。部活動指導員の活用、部活動の地域移行、それぞれに責任の所在を明らかにする必要がある。

 とにかく、この実刑判決は重い。遺族の方の「人災」というのも理解できる。私もこの事故が起こったとき、注意義務違反と直感した。山に登った経験がある者としては、ずさんな判断であることには間違いない。ただ、実刑とは思わなかった。耐寒登山や耐寒マラソン、体育祭での競技、そして屋外での部活動に大きな影響をもたらすだろう。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP