令和7年度予算も閣議決定し、年が明ければいよいよ通常国会が開かれる。予算を巡る本格的な論戦が展開される。臨時国会で注目されたのは、言わずとしれた「103万円の壁」を巡る攻防だ。一度は、税制担当の会議で与党と国民民主党は決裂したが、その後幹事長レベルで、協議の継続が約束された。予算が衆議院を通過するであろう2月ごろに最大の山場を迎えるだろう。与党が提示した123万円という案は、憲法25条の「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という条項に違反している。基礎控除というのは、この憲法25条に照らし合わせ、最低限度の生活を営むための費用には税金をかけないという主張なのだ。現在は、最低賃金が上昇している。これに合わせて設定されたのが、178万円なのだ。もし、123万円の税制を国会が可決してしまえば、憲法違反の可能性が高くなる。国民は、提訴すべきだろう。
さて、日本維新の会は、高校教育無償化を求めている。まだ、この政策の実現に向けて具体に予算化されたわけではない。しかし、維新は補正予算に賛成に回った。自民党からは、「カモが飛び込んできた」と評されている。予算的には、6000億円程度で実現できる高校無償化の方が、与党にとっては安上がりだ。維新に賛成してもらえたら、予算は賛成多数で承認される。与党、特に自民党としては国民民主党と維新を天秤にかけて、分断を図ってくるだろう。政治の駆け引きとしては当然ではないか。世の中には、「維新が賛成に回ったら、支持率はがた落ち」という意見がある。それも当然だ。高校無償化と「103万円の壁」で言えば、プライオリティは「103万円の壁」である。そこで、与党に分断されないために、維新と国民民主党は、政策協定を結ぶべきである。互いの政策の目玉に否は無いのであれば、双方の政策の実現に向けて一致協力するという政策協定を結ぶべきだろう。そうすれば、与党に対してかなり強力な勢力となる。
立憲民主党は、この間何をしているのだろうか。政治改革に力点を置いていることはわかるが、国民はそれのみを求めているわけではない。「手取りを増やす」をスローガンに議席を4倍にした国民民主党に学ぶべきだろう。野田代表は緊縮財政派と評されているが、今必要なことは、積極財政である。そのために、減税に関する大胆な政策を打ち出すべきだろう。例えば、賃金の上昇が物価の上昇を上回るまで、消費税を5%にするなどである。そして、野党をまとめるリーダーシップを発揮しなければならない。この間、世間の関心の中心は、国民民主党なのだから。
来年度予定されている参議院選で与党が過半数割れになれば、衆参共に野党が多数を握る。石破首相は衆参同時選挙も有りうると発言した。野党にとっては、最大のチャンスである。今度こそ、野合ではない政策論議を行い、責任ある政策協定を結び(ということは、自党のエゴを抑えるということだが)、政権交代を果たしてほしいと思う。そうでなければ、日本の政治にダイナミズムが起きない。
できうるならば、この政策協定の俎上に、給特法問題と教員定数問題を乗せてほしいものだ。果たしてどうなるだろう。
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