議論大詰め!だけど・・・


 4月5日の読売新聞に小さく、「『教員の残業代』議論大詰め」という記事が出ていた。読んでみると、「教職調整額」の現行4%の引き上げの意見が多数だったらしい。なんじゃこりゃ?と思う。これでは、給料は上がっても「定額働かせ放題」の制度は、変わらない。なぜ、教員志望の若者が著しく減少しているかという問題の解決にはならないだろう。そう思っていると、この会議にも出席している妹尾昌俊氏のFBに教育新聞の記事が掲載されていた。詳細は、下記にアクセスしてください。

教員の時間外勤務手当、否定的な意見相次ぐ 中教審特別部会

この記事を読んでみると、「教員の勤務管理は難しい」というのが基本姿勢だ。例えば、教育長として様々な実践を行い、そして成果を挙げておられる埼玉県戸田市教育長の戸ヶ﨑勤氏は、
「学校管理職が教師の個別具体の職務について見届けていくことは、そもそも不可能に近い。時間外勤務の命令を個々に発することは当然なじまない」
「より良い授業に向けた教材研究とか、授業準備には際限がなく、教師の主体性に期待する面が大きい。そのような際限のなさを管理職が超過勤務として見とって時間に換算するような処遇改善は、教師一人一人の職務の裁量を縮めてしまう恐れもあるのではないか」

と述べている。ということは、教員が頑張って教材研究を夜遅くまでしようが、逆に早く定時で帰ろうが一律の教職調整額で良いということだ。そんなバカな話はない。労働に対して、きちんと対価を払ってこそ、インセンティブが働き、またタイムマネジメントを行う動機にもなる。

 教職調整額を10%以上に引き上げるという話も出ている。私が兵庫教育大学大学院で大変お世話になった東北大学の青木栄一先生だ。青木先生によると、10%以上に引き上げれば、1980年当時と同等のレベルで優遇されるらしい。しかし、こんなことで教員の働き方改革はできるのだろうか。妹尾氏も、「教員以外の公務員も、私立や国立附属の学校でも、管理職は労務管理していますから」と指摘している。そうなのだ。管理できるのである。兵庫教育大学の附属学校園に労働基準局による時間外労働の査察が入ったときに調べられたのは、教員が使用としているパソコンのLOGである。大体、パソコンのLOGの時間帯と勤務実態は、ほぼ一致している。教員のほとんどが、一人一台のPCで仕事をしているからだ。朝、出勤したらPCを立ち上げ、仕事が終わればPCを閉じるのである。家庭訪問などの学校外の勤務も勤怠管理を導入すれば、把握することはできる。やれないことはないのだ。この議論を聞いていると、初めから自民党の路線を踏襲した議論がなされているようだ。やれない理由を探しているように見える。
もう一度言うが、これでは教員の働き方改革は進まない。「定額働かせ放題」の定額が上がるだけだ。


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