読売新聞社説ー「フリースクールと連携強化を」

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 11月7日、久しぶりに読売新聞に教育関係の記事が掲載された。社説に「フリースクールと連携強化を」というテーマである。不登校生徒が、過去最多の30万人を超えたことに対する危機感からの記事である。社説の最後に「不登校の増加は、画一的な義務教育に対する拒否反応という一面もあるのではないか」と指摘している。確かにその通りだろう。しかし、そのすぐあとに「学校以外での学びをどう保証するか、十分に議論すべき時期に来ている。」と結んでいる。果たして、この視点で解決するのだろうか?社説でも指摘するように、フリースクールに通っていても、小中学校に籍がある。フリースクールを正式な学校教育法に定める「一条校」として認めるのか、それとも不登校状態の「緊急避難場所」として位置づけておくのかという問題だろう。現在は、後者の位置付けである。不登校数の過去最多を受けて、自治体がフリースクールに援助することについて、滋賀県東近江市の市長がフリースクールについて発言したが、不適切発言として謝罪するに至った。「一条校」になるように充実させていくのか、あくまでも「緊急避難場所」と位置付けていくのか、軸足をどちらに置くかを決めて議論を進めていくことが重要だろう。

 以前から私が指摘しているように、不登校問題は学力との関係が深い。学力不足から不登校になるケースもあれば、不登校の結果学力不足に陥り、さらに不登校が深刻化するという場合もある。学校というところの使命が「人格形成」にあるとはいえ、1時間目から6時間目のほとんどの時間は教科の学習の時間なのである。この時間に、自己肯定感が持てないようであれば、教室にいるのがつらくなるのも当然だ。直接不登校の問題を扱ったわけではないが、11月5日の日曜日の日本テレビの「そこまで言って委員会」で30人学級の問題が取り上げられた。OECDの中で、日本の1クラス当たりの生徒数は確かに多い。日本の教育界の論調として、「1クラス当たりの人数を減らせば十分な教育が行われ、学力が向上する」という意見がある。しかし、教育学的にこのことを論証した研究はないのだ。このことを、橋下氏が指摘していた。30人学級で益を得るのは、教員である。教員の負担は確かに減るだろう。これほどブラックな職場なのだから、30人学級も意味はある。この番組で橋下氏が主張したのは、日本の「履修主義」の問題である。学力が一定水準に満たなくても、逆にすでに十分に習得していても、学年が一つずつ進級していく。いわゆる「吹きこぼれ」と「落ちこぼれ」の問題だ。学力を伸ばす最も良い方法は、習熟度別クラス編成である。欧米では、義務教育段階から「留年制度」がある。学年制を廃止、能力別に編成するような小中高の一貫校があってもいいのではないかと思う。

「画一的な学校教育の問題」と指摘するなら、「画一的な学校教育」をどのように柔軟にするのかを議論しても良いのではないか。


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