認知戦について


 世界中がきな臭くなっている。2月28日は、アメリカ・イスラエルがイランの大規模な攻撃を加え、最高指導者のハメネイ氏が死亡したという。イランも中東の米軍基地に攻撃を加え、日本のエネルギーの生命線であるペルシャ湾ホルムズ海峡への民間船舶の航行が禁止されたという。戦争が長期化すれば、まさに日本の存立危機事態だ。台湾有事以上に私達の生活に直接的に打撃を与える。

 また、2月24日でウクライナ戦争が4年を経過した。いまだ、ロシア・ウクライナ双方の言い分の隔たりは大きく、和平への道筋が見えない。ロシアに占領されたウクライナ東部では、ロシア化がますます進んでおり、特に教育現場でのロシア化が進んでいるという。

 中国の台湾侵攻についても、スケジュールに上っているのではないかと言われている。しかし、いろいろな本を読んでいると、実は中国は台湾に武力侵攻したくはないのだという意見が散見している。というのも、台湾には世界最大・最先端の先端技術メーカー、TMSCがあるためだ。武力攻撃を行うと、この先端技術産業に打撃を与えることになり、利益が半減してしまうことになりかねず、何のために台湾を手に入れたかということになりかねないと言われている。
 そこで中国が台湾に仕掛けるのが、認知戦ということになる。「今の民進党のように台湾独立を標榜するよりは、国民党のように中国の北京指導部と強調したほうが台湾のためになるのではないか。北京に逆らったとしても、アメリカは助けに来ない。膨大な軍事力の差を考えれば、北京と仲良くするほうが、台湾の将来にとっては良いのではないか」という考えを、台湾住民に広げること、これが認知戦である。そうすれば、平和裏に中国は台湾を手に入れられるというのである。

 以上が、現代の世界で語られる象徴的な認知戦であるが、ここでふと思ったのは、戦後の日本はどうだったのかということだ。戦争を行う前ではなく、戦争後の認知戦で、まさに日本は完璧にアメリカに負けてしまったのではないかということだ。第二次世界大戦、太平洋戦争(注)において、アメリカは本土爆撃として、無差別な都市攻撃を行った。日本のほとんどの都市という都市が爆撃を受けたのだ。これは明らかに、戦争犯罪である。今でもウクライナ戦争・ガザ紛争を始め、民間人が戦争に巻き込まれる度に、非難の声が全世界から起こる。そして、挙句の果てに2度の原爆投下である。これほどの戦争犯罪はあり得ない。
 ところがどうだ。戦後80年経って、「アメリカ憎し」と言って、反米活動をしている日本人はどれほどいるか。ほとんどいない。逆にアメリカを筆頭とする欧米諸国に対して、日本人は憧れさえ持っている。例えば、中国や韓国はどうだ。未だに日中戦争、植民地支配の事を忘れず、ゆがんだ形で「日本憎し」という教育が行われ、過去の戦争を繰り返し国民に思い起こさせている。それに比して日本人は、反米抵抗勢力はどこにもいないと言っていい。日米安保条約のおかげで、日本の繁栄がある、アメリカ様々だと、知らず知らずのうちに日本人は思わされているのだ。

 なぜ、こうなったか。戦後のGHQによる日本占領政策がものの見事に成功したのである。日本と日本人は認知戦においても、完璧に敗北したのだ。その中核を担ったのが、「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」というものである。私も最近読んだ本で初めて知ったプログラムなのだが、要はこの作戦は、日本国民に戦争の罪悪感を植え付け、連合国側の史観を浸透させるために行われた広報・宣伝計画なのだ。まさに認知戦の中核をなすプログラムである。文芸評論家・故江藤淳が、1989年に著書『閉ざされた言語空間』で初めて紹介したものである。その内容は、ビックリするような内容で、今の欧米崇拝の日本を形作るためのプランが目白押しである。当然、学校教育にも大きなという以上に絶大な影響力を及ぼしている。詳しくは、下記のURLを見てほしい。

https://www.issoh.co.jp/column/details/10439

 戦後の日本を見てみると、もしかしたら、日本人と言うのは、認知戦に弱いのではないかと思ったりする。これからの世界は、力のある国が、自国の利益のために何でもする世界に変わっていく。日本人は、日本と日本人の利益を守るために、何をすべきなのか、真剣に考えるべきだ。それはアメリカ追随ではなく、排外主義でもなく、自国第一主義でもない。中程度の国日本が生き残る術は、国際協調であるべきだということを申し述べておきたい。


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