誉田哲也が示す毒親 姫川玲子万歳!

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 私は、誉田哲也の小説で3つのシリーズを読んでいる。一つは、姫川玲子が主人公のシリーズ。もう一つは歌舞伎町セブンが主役のジウシリーズ。最後は、最近読んで面白いと思った妖シリーズである。姫川玲子シリーズでは、竹内結子がその役を演じテレビでも放映された。竹内結子ほど、姫川警部補にぴったりの役者はいないと思っていたが、彼女が亡くなり、今後のこの姫川玲子を誰が演じるのか、竹内演じる姫川警部補を見ることができないのが、残念でならない。
 さて、余談から本題に入ろう。最近、姫川玲子シリーズの文庫本が発刊された。「オムニバス」である。題名の通り短編が納められているが、姫川班のそれぞれの目線から書かれているので、短編が一つの物語を編んでいるようで面白かった。この中で、姫川警部補が毒親について啖呵を切るシーンが出てくる。「根腐れ」という短編である。姫川のセリフは、こんな感じだ。

「見抜いた、っていうか・・・・よく似た人、知っているのよ。特に目がね、よく似てた。ある対象に、過剰に愛情を注ぐことによって、自身が満足しようとする、自分が救われようとする種類の人間・・・大っ嫌いなんだよね、わたし、そういうの。だから、感情的になったって言われたら、そうだろうなって思う。自分でも」
「私の母親・・・水やり過ぎて、根腐れで草花を枯らしちゃう女の典型。そういう癖って、何度言っても直らないの。そりゃそうだよね。草花が可愛くて、元気に育ってほしくて水やってんじゃないんだから。甲斐甲斐しくジョーロで毎日水をやる、その姿が窓ガラスに映る、それを見て、私って草花を愛する心優しい女、って自分のことを思いたいだけなんだから・・・馬鹿じゃないの、って思う。ザバザバ水ぶっかけられて、溺れそうになってる方の身にもなってみろっツーの」
(「オムニバス」文庫本p340~p341)

よくぞ言ってくれた姫川!拍手喝采だ!大賛成!そして誉田哲也に乾杯!


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