12月23日、朝のNHKニュースを見ていると、若者のネット中毒のニュースが流れていた。兵庫県立大学の竹内和雄教授が、小中高生17万8000人余を対象に調査した結果だ。ネット依存の概念を提唱したアメリカの心理学者が作成したスクリーニングテストをもとに行われ、「やめようと思ってもうまくいかないことがたびたびある」や「使っている時間を短くしようとするとイライラする」など8つの質問を行い、5つ以上あてはまるかどうかを判定した。その結果、いわゆる「ネット依存」が疑われるのは、
▽小学生で16.2%、
▽中学生で24.1%、
▽高校生で26.9%で、
中学生と高校生ではおよそ4人に1人に上ったという。2017年度の同様の調査では、
▽中学生で12.4%、
▽高校生で16%
がネット依存の疑いという結果になっている。竹内教授によると、「コロナ禍の休校期間で子どもたちのネット依存が悪化している可能性が高い」と指摘している。
確かにその可能性は高い。コロナ禍では、家にいる時間が長いため、どうしてもスマホやタブレットを見る時間が長くなる。しかし、この時点でコロナ禍が原因と限定しても良いのだろうか。コロナ禍が原因と確定できるのは、次回の調査、つまりコロナ禍を経ていない段階、中毒依存の若者が減少すれば、コロナ禍が原因と指摘できる。私の仮説は、こうだ。
「確かに、コロナ禍は、若者のネット依存を促進してしまう役割を果たしただろう。しかし、若者のネット依存の増加は、コロナ禍が主の要因ではなく、現在のトレンドになっており、これからも増え続けるだろう」
というものである。もう、今の30代までの大人まで、情報源はネットだ。テレビや新聞を見ない。今、SNSの問題になっているエコーチェンバー予備軍が、そこかしこにいるという状況だ。余談だが、授業の合間の雑談で、「北九州市の犯人が逮捕されたよね」と話題を提供すると、キョトンとする生徒がいた。「エッ!ニュース見ないの?」と聞くと、その生徒は「ニュースは見ない」という。事件さえ知らないのだ。ネットでさえニュースを見ないのだ。それでいて、スマホから一時も目を離さない。
おそらく、これからもネット依存の若者は増え続けるだろう。本気でオーストラリアのように若者のSNS禁止が必要になるかもしれない。このSNS禁止の報道が流れたとき、「抜け道」があるということが同時にあるので、実効性に疑いの目が向けられた。しかし、この禁止により「公にはSNSが使用できない」ということの効果が大きいという。つまり、酒やたばこと同じだ。黙って隠れて飲酒や喫煙している若者もいるだろうが、公の場で飲酒や喫煙すれば、学校や警察から指導や補導の対象になる。こういうことが抑止力になるだろうというのだ。なるほどである。
さて、次回の調査が楽しみだ。果たして、増えているのか、減っているのか。それとも同じか。ネット依存の要因は何なのだろう。
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