義務違反はない?!


 どう云う理由で奈良市は「義務違反がない」と言ったのだろう。奈良市の答弁書がないために詳細はわからないが、理解に苦しむ。奈良市の小学校でいじめを受けた女子児童が「わたしは死ねばいいのに」と書いて提出したノートに担任の教諭が「花丸」を付けて返していたことなどをめぐり、児童と両親が学校の対応が不適切だったとして市に損害賠償を求めた裁判である。この事案については、奈良市教育委員会は、いじめを認定しており、教員の対応も不適切であったと認定している。奈良市は、「いじめの認定がされていても教員に義務違反はない」と主張しているのだ。本当に理解に苦しむ。このような姿勢では、保護者の不信感は、増幅するばかりだろうし、該当児童も不安なく学校生活を送ることはできない。
 いじめ防止対策基本法には、以下のように記述されている。

第三条 いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。
2 いじめの防止等のための対策は、全ての児童等がいじめを行わず、及び他の児童等に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないようにするため、いじめが児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならない。
3 いじめの防止等のための対策は、いじめを受けた児童等の生命及び心身を保護することが特に重要であることを認識しつつ、国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、いじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。


そして、学校・教職員の責務として、

第八条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。

この法律の文言を読む限り、花丸を付けた教師が、義務を果たしていると言えるのだろうか。奈良市は何を考えているのだろうか。


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