精神疾患による教員の休職

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 6000人を超えてしまった。精神疾患による教員の休職がである。文科省によると、その原因は
▽教員間での業務量や内容のばらつき、
▽保護者からの過度な要望や苦情への対応のほか、
▽コロナ禍で児童生徒や教職員間でのコミュニケーションの取りづらさがあったこと
らしい。「業務量や内容のばらつき」だろうか。違うだろう。保護者からの過度な要望や苦情も含め、学校現場が超ブラックだからだ。特に教員になりたての新任にとっては、いきなりの担任、いきなりの授業、いきなりの保護者対応なのだ。教師業を学ぶ間もなく、前線に立たされるのである。周囲のサポートがあれば、まだOJTで何とかなるかもしれない。しかし、周囲の教師も余裕が無いのだ。私が管理職をしている時には、新任教員の指導担当には、2時間の時間減がついた。それで、新任指導に当たるのである。かなり難しい話だ。
 私が経験した府立高校では、新任教員に1年目から担任を持たせないことが慣例となっていた。転勤してきた教員にも担任は持たせない。まずは、1年目は、学校や生徒をみてもらい、業務に慣れてもらうためである。ところが、小学校や中学校は違う。いきなり担任というのが通常である。クラスの担任をする以上、児童・生徒にとっても保護者にとっても、新人であろうがベテランであろうが担任は担任である。一定の水準を求められる。それもその求められる水準は、どんどんレベルが上がっていくのだ。ベテラン教員でも四苦八苦するような「いじめ問題」は、指導力が乏しい新人には何をどうして良いかわからないだろう。こういう現実があるがゆえに、教員志望もどんどん減っていくのである。悪循環だ。

 さて、どうすれば良いだろう。まずは、小中学校も高校並みに、新任には担任を持たせず、副担任としてベテラン・ミドルの教員の仕事の仕方を学ばせるべきだろう。そして、色んな教員のクラス経営や授業を見学し、自分の引き出しを増やすことが大事だ。これには、教員定員を増やすしかない。令和5年度予算では、管理職をサポートする人員や問題事象を取り扱うコーディネーターなどが配置されるらしい。これも必要だ。だが、少なくとも今のご時世に「教師になってやろう!」と意欲を示してくれた若者を潰さない施策が必要だ。もう、新任教員は「金の卵」と考えなければならない時期に来ている。

ここまで書いて、現役校長から指摘を受けた。高校でも教員不足から転勤していきなり担任、新任教員もいきなり担任というのが増えているらしい。高校は、学力格差が大きく学校が変わればまるで「転職」するぐらいの違いがある。これでは教員の精神的負担は相当大きいだろう。


“精神疾患による教員の休職” への1件のコメント

  1. 高橋正和のアバター
    高橋正和

    1.教員数の不足。30人学級にしたけど、教員数は増えていない。
    2.現場の人間、特に管理職が変えようとしないこと。行事や研究会など、せっかくコロナで精選するチャンスだったのに、また以前に逆戻り。
    3.地域で取り組むべきことを学校に押しつけていること。部活やコンクールなど。

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