米大抗議デモ

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 アメリカニューヨークの名門大学コロンビア大学で、抗議デモが激化している。ニューヨーク市警が大学構内の建物に突入し、逮捕者が出ている。抗議は、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃に対するものだ。バイデン政権が、ネタニヤフ政権を抑制しつつも支持している。そして、ガザでは「ジェノサイド」と言われるほど犠牲者が出ている。このことに対するアメリカの学生たちの抗議だ。抗議デモは、全米の大学に広がっているという。
 コロンビア大学は、1968年のベトナム戦争に反対する抗議デモが行われた大学である。ベトナム戦争に対する反戦運動は、全世界に広がり、日本でも学生を中心に、反戦活動が盛んになった。ちょうど、68,9年の全共闘運動である。私はその世代ではないが、その当時、日本のほとんどの大学で紛争が起こったことは、当時まだ小学生だった私の心にも残っている。ガザでの惨状をみると、アメリカの若者が抗議をするのも十分に理解できる。今、私が大学生なら同じような行動をしていただろう。

 ところで、日本の大学生である。68、9年当時のエネルギーは、伺い知れない。アメリカの学生たちと日本の学生たち、この違いはどこから生まれたのだろうか。イスラエルと密接に関係するアメリカとそうではない日本という大きな差はあるにせよ、ガザで多くの人命が失われているという厳然たる事実は、とても大きい。欧米の多くの国で「ガザでの紛争即時停止」の声は上がっている。日本の学生が静かなのは、68,9年以降に行われた教育の「成果」ともいえる。爆発する学生たちのエネルギーに対して、このような学生たちを生み出してはならないと、「物事を考えさせない」教育がじわじわと浸透していき、社会問題を考えるよりも個人の幸福を求める若者が増えていった。68,9年の学生運動以降、学生たちが社会問題に積極的に立ち上がったということは、ほぼない。大人しくなった日本の学生、だが、 大人しくなりすぎたのではないかと思う。私の身の回りにも、いままで一度も投票に行ったことが無いという若者が少なからずいる。これでは、日本は良くならないだろう。別に、68,9年のように学生運動をしろと言っているわけではないが、もっと社会問題に目を向けることが必要だろうと思う。
 今、学校現場で中心を担っている教師も、自分自身がもっと社会に目を向けるべきだろう。政治に関わろうとしない教師たちに、政治教育はできない。


“米大抗議デモ” への1件のコメント

  1. 高橋正和のアバター
    高橋正和

    政治的関心が少ないのは教員の方ではないでしょうか。問題点をすぐに学校教育に持っていき、あれこれ不足していると思われる内容を現場に要求するから、現在学校はブラックと呼ばれる職業になっているのです。アメリカの問題をすぐに日本、それも学校教育に当てはめようとするのは短絡的だと思います。学生デモがアメリカの教育の成果だという根拠をあげ、説明してください。

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