移民政策はどうなる?AI予測ーNHK

,

 1月4日、夜10時からNHKスペシャルで「AI×専門家 6つの未来」が放映された。本来は、1月1日に放映予定だったが、北陸地震の影響でこの日になった。このプロジェクトは、膨大なデータを日本の企業が開発したAIに学習させ、日本の未来を予想させるものだ。AIは大きく分類して6つの未来を予測した。どの未来がいつどのような選択でやってくるのか、キーイヤーは、2028年、2029年、2040年らしい。
2028年・・・賃上げができるかどうか
2029年・・・少子化が止まり、改善するか
2040年・・・イノベーションが生まれるか
である。確かに、「失われた30年」を取り戻すためには、デフレからインフレに転換しなければならず、それには物価上昇分を上回る賃上げ、いわゆる実質賃金の上昇がキーになる。その分かれ目が2028年らしい。そして、その翌年の2029年には、少子化がどのようになるかというのである。少子化が止まり、子どもの出生率が改善するためには、男性の非正規雇用が減少することがキーになるという。当然だろう。年収300万円を切るような状況では、結婚しても生活に展望が見えない。
 ここまで番組を観ていて、納得感もあったが、違和感もあった。この違和感は何かを考えつつ番組を観ていた。2040年のターニングポイントには何が出るかと思っていたが、「イノベーション」だった。確かに大事だろう。しかし、ここで「?」が「!」に変わった。日本の人口減少はどうなるのかという問題である。2029年に少子化のターニングポイントが来るとしても、すぐさま日本の人口、特に労働生産人口が改善するわけではない。2029年に生まれた子どもが18歳になるのは、2047年になる。そこまで、労働生産人口は減り続けるのではないだろうか。ここで、もう一つ重要なファクターがある。それは「移民政策」ではないかと考えた。「人口減少」を補う「移民政策」をどのように展開するのかで、日本の未来は大きく変わるのではないかと私は考えている。

 現在技能実習生という形で、外国の労働者を受け入れているが、その多くは低賃金労働者として日本の社会に位置づいている。このような状況を改善すべく法制度の改善も行われたが、果たしてそれだけで良いのかと思う。海外の優秀な人材が日本を選ぶように、日本の扉を開放しなければならないのではないか。この方針は、人口学者のエマニュエル・トッド氏が、日本の政策に対してずっと提言していることだ。彼は、「ドイツは、ドイツ社会が壊れてしまうほど、移民を受け入れて失敗したが、日本はもっと移民を受け入れるべきだろう。日本文化が壊れない程度に、そして移民が日本文化に溶け込んでいく程度に」と言っている。なるほどである。このプロジェクト、移民政策も重要なファクターではないかと思って観ていた。

 蛇足だが、ゲストとして東京大学大学院准教授の斎藤幸平氏が番組に出演していた。彼は、マルキストである。彼が面白いのは、後期マルクスが描こうとしていた共同体による社会構造に注目したことである。マルクス=レーニン主義と言われるように、マルクス後には、ボルシェビキのレーニンがマルキシズムを継承したように言われている。しかし、もう一つの流れに、ローザ・ルクセンブルグがいるのだ。彼女は、レーニンによるロシア革命の在り方を批判した。一党独裁ではなく、もっと自由な社会が必要であると訴えた。斎藤氏は、このローザ・ルクセンブルグの流れに位置すると私は勝手に考えている。レーニンがめざしたソビエトという社会以外に、マルクスはどんな社会主義をめざそうとしたのか。彼が出版した「人新世の「資本論」」には、その社会が描かれている。

マルキスト斎藤を登場させたNHK、なかなか面白いではないか!


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP