広陵高校の暴力事件が世間で騒がれている。弁護士JPニュースは、題名の通り法に関する問題を報じているサイトなので、事実でないようなことを報じることはほぼないと思っている。サイトには以下のように記載されている。
1月23日早朝、保護者のもとに野球部のコーチから「息子さん(被害生徒・当時1年生)が寮からいなくなった」と電話があった。原因を尋ねると、「寮内でカップラーメンを食べているのを2年生が見つけ、厳しく指導した」からだという。
その後、被害生徒は自宅に帰宅し、「正座させられて10人以上に囲まれて 死ぬほど蹴ってきた」「顔も殴ってきたし」「死ぬかと思った」などと保護者に話した。
保護者は、被害生徒の話を聞き取っていたメモをもとに、コーチに確認。するとコーチは「ほぼほぼメモでいただいた内容と合っています」として謝罪したいと申し出た。
しかし、被害生徒が寮に戻ると、コーチ同席のもとで監督からカップラーメン(の飲食)について叱責された。そして同監督は「お前嘘はつくなよ」「2年生の対外試合なくなってもいいんか?」などと被害生徒を追い詰めた。さらに寮では、上級生からの嫌がらせが続いた。
被害生徒は1月29日にも寮を脱走。「川に飛び込んでみようかな」と考えるほど、追い詰められていたという。広陵高校の発表によると、その後、加害生徒4名が被害生徒に謝罪したが、被害生徒は3月末で転校している。
これが、事実なら明らかにいじめであるし、事実が確認できなくとも生徒本人・保護者から訴えがあれば、事実確認の調査をしなければならない。さらに、本人が転校しているという事を踏まえれば、広陵高校は県に報告しなければならないし、第三者による調査委員会を設置しなければならない。別の案件では、第三者委員会を設置しているようだが、この案件については、高野連の「厳重注意」となっているようで、第三者委員会の設置を広陵高校が行っていないことが問題なのである。この一連の流れをみれば、外部からは「イジメ隠し」と見えるのは至極当然だろう。現在のいじめ防止対策基本法では、絶対に対応しなければならない事案なのだから。
この第三者委員会の調査結果を踏まえて、暴力事案が個人的なものなのか、それとも集団によるものなのか、いじめが野球部として組織的に行われたのか、というものが検討されなければならない。そして、調査の結果、しかるべき指導が必要になる。もし、野球部が組織的にいじめに関わっていたとしたら、その処分として野球部の活動停止という事も有りうるだろう。
ここで誤解が無いように言っておくが、私は個人が起こした事案を連帯責任にするべきと言っているのではない。あくまでも野球部の組織的関与がある場合、野球部への処分が必要と考えている。個人(または数人)が起こした事案を組織全体の責任にすべきであるとは思っていない。
ただし、弁護士JPニュースサイトの記事を読むと、監督やコーチまで関わっているように見受けられる。本来なら、第三者委員会での慎重な事実関係が求められる事案なのである。
世間では、高校の野球部の不祥事があると、すぐに「活動の是非」が問われる。高野連による長年の「高校野球学生憲章」に国民も毒されているのだ。第一義的には、学校が判断すべき問題であることをもう一度確認しなければならない。そのための第三者委員会なのだ。
阿部文科相が、この問題に触れて
「被害を受けた生徒のケアと、暴力行為に及んだ生徒への指導などに適切に対応し、再発防止に努めていただきたい」
「発言がエスカレートしていけば誹謗中傷で新たな人権侵害を生むことにつながる。冷静な対応をお願いしたい」
とコメントしたと報じられているが、何を言っているのかと思う。自身が管轄するいじめ防止対策基本法が広陵高校では機能していなかったのではないかという事をまずは指摘すべきだろう。この大臣は、教育に関して、本当に素人だ。こんなコメントを出すなら、全国で起こっている様々な事案に対して、文科大臣はコメントしなければならない。
最後にもう一度言う。甲子園の出場の是非は、二の次、三の次である。まずは、このいじめと思われる事案に対して、第三者委員会を組織し、事実関係を明確にしたうえで、暴力行為やいじめ行為、そして組織的関与の有無等を明らかにし、必要な対応・指導を学校が行うべきである。
広陵高校「いじめではない」と判断、県への報告行わず…“集団暴行”巡る学校の対応に「重大事態にすべき案件」識者が“問題”指摘
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