8月13日の関西テレビの午後の番組「とれたて!」で、橋下氏が広陵高校問題を「ズバッと斬る」というので、番組を見てみた。こういうことができるのも盆休みならではだ。彼のコメントは、「素晴らしいルールを徹底すべき」ということだ。どういうことか、少し解説がいる。
橋下氏は、高野連が長年日本学生野球憲章に掲げてきた「連帯責任」なるものに断固反対の姿勢である。私も同じだ。ところが、長年の批判に対して2025年2月25日にこの憲章を改定し、「連帯責任」という考えを変え、個人の問題は個人の責任に、組織の責任は組織の責任というようにしている。やっと近代的な法の考えに基づいたと橋下氏は述べている。今回の事件が、学校側から高野連に報告されたことが事実ならば(ここがポイントなのだが)、今回は暴行事件を起こした4人は、1カ月の公式戦出場停止という処分になっているのだ。高野連の改定された規定に基づいて処分が下されている。
橋下氏は、学校も高野連も憲章の改定趣旨に基づいて処分が行われていること、甲子園に出場すること自体、何ら問題がないことを説明すべきだというのである。私もそう思う。彼も「出場辞退をすることは、真偽不明のSNSへの投稿に屈したことになる」というのだ。私もそう思う。この点について、多くのマスコミがだんまりを決め込んでいることにも、私は納得がいかないのだ。
ここまでは橋下氏の意見に賛成である。ただ、橋下氏は、問題のより重要な部分に触れていない。それは、寮内で起こった暴行事件であり、被害者が転校を余儀なくされているということだ。被害者が被害届を出せば、当然暴行事件として警察が関与する事件であるし、被害届を出さないのなら、学校側は「いじめ重大事案」として、広島県の学事課(私立高校の所轄部署)に報告しなければならない。そして、広島県知事にも報告されなければならない事案なのである。そして、第三者委員会設置の下に詳細な調査を行わなければならないのだ。このことを、暴力事件が発覚した1月段階で、広陵高校は行わなければならなかったのである。
橋下氏は、この件について一切触れなかった。コメンテーターとしては、如何なものかと思う。というのも、読売テレビ系の「ミヤネ屋」では、読売テレビ特別解説委員の高岡達之氏が「暴行事案とか不適切とか言いますが、これ暴行でしょ。刑事事件でしょ」と私見を述べているのだ。高岡氏の方が、問題の本質を理解している。
とにかく、被害者側と思われる方のSNSへの投稿は、この問題に対して納得していないということだ。なぜ、納得していないのか。それは、暴行事案、いじめ重大事案として学校側が警察や第三者委員会の設置などを含めた詳細な調査姿勢を示さなかったからだ。被害者側は、広陵高校が高野連に報告した内容が、事実と違うのではないと訴えているのだ。
なぜ、広陵高校は、しかるべき対応を取らなかったのか。この点も第三者委員会ならば明らかになるだろう。とにかく、広島県学事課は、この事案に対してきっちりと「いじめ重大事案」として取り上げ、第三者委員会の設置を行うべきである。すでに別の案件で第三者委員会が設置されているのならば、この案件についても調査の対象とすべきだろう。
コメントを残す