柔道の誤審


 パリ五輪が始まった。サッカー日本代表がパラグアイに圧勝し、「やるな!ニッポン」と思って観ていた。ところが、その後「?」という結果が飛び込む。男子バレー、女子バレー共に初戦敗北。バスケットもドイツに負けた。卓球も早田・張本の男女混合ダブルスが初戦敗退した。そして、池江の準決勝敗退である。五輪が始まる前は、いずれもが期待をかけられていた競技や選手だった。その中で、阿部詩の2回戦敗退は衝撃だった。私の職場には、柔道7段の先生がいるので、プロの目からこの試合について聞いてみた。

 詩は、やはり勝っていたというのが、柔道7段の先生の指摘である。相手選手は、指導を2回受けており、明らかに技のかけ逃げを行い、3回目の指導で反則負けだったというのである。その直後の谷落としで詩は一本負けした。明らかに、誤審だというのである。更に、永山の失神の件についても、審判が「待て」をしたにもかかわらず、絞め続けた相手選手は、反則負けであると7段の先生は指摘する。日本での試合なら、絞め技は危険であるため、「待て」がかかれば、すぐに技を離さなければならない。そして、失神しておればすぐに蘇生処置を行わなければ、命に関わるのである。それにも関わらず、相手選手は「待て」のあとに絞め続けた。これに対して審判は、「指導」も何も行わなかったというのである。日本の選手団はすぐに抗議したらしいが、審判団は「笑って」取り合わなかったらしい。あとで、誤審を認めたらしいが、もうやり直しは無い。阿部詩の件、永山の件、そしてシドニーの篠原の件といい、柔道には誤審が多すぎる。それも外国人の審判にである。国際柔道連盟は、審判の質を高めなければ、公平・公正な試合ができないだろう。

 ところで、阿部詩の号泣である。まず、執拗に号泣している詩を追い続けたカメラマンには、「武士の情け」というのが無いのかと思う。多くの人が、コメントしているように、敗者を執拗に追いかけるカメラマンには違和感を覚える。東京五輪金メダリストである詩のまさかの敗退に、会場からは、「UTA」コールが起こった。温かい声援に感謝したい。しかし、あえて言わせてもらいたいのは、「泣くなら、控室で泣け」と言いたい。武道家として「負けて涙を見せる」のはどうなのかと思ってしまう。それも人の目も憚らずの号泣である。コーチに抱えられて会場を後にする姿は、どうなのかと思う。必死に涙を堪えながら、大粒の涙を流しながらでもよい、自分の足で前を向いて歩いていく詩の姿を見たかった。今まで尋常ではない練習を行い、相当なプレッシャーに耐えてきた選手には、相当きつい言い方かもしれないが、それが世界に見せる日本人の武士道、日本人のアイデンティティではないかと思う。日本の柔道のトップに立つ阿部詩選手だけに、この精神を体現してほしかったと思う。


“柔道の誤審” への1件のコメント

  1. とみぃのアバター
    とみぃ

    審判の資質向上(さらには,規定の適正化も必要。)、阿部先週の号泣に関しては本当にその通りと思います。

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