東大　学費値上げ決定

　朝、NHKニュースを見ていると「東大　学費値上げを正式決定」というニュースが飛び込んできた。５３万５８００円が６４万２９６０円と１０万円余りの値上げである。かなり大きい。１９６８，９年、学生運動が盛んな時であれば、これほど大幅な値上げに対しては、凄まじい学生運動が巻き起こっただろう。東大の学生から「学費値上げ反対」の声明は出されていたが、値上げ阻止をするまでの運動に発展しなかった。５０年以上前とは、世の中が大きく変わった。

　東大学費値上げの影響は、大きい。東大自体について考えると、益々「普通以下」の家庭の子弟が入学できなくなる。東大に進学する学生の家庭の収入は、日本の平均を大きく上回っているのだ。東大に入学させる力をつけさせるまでの家庭の経済力は、相当なものが要求させるのだろう。東大が、益々「一部の国民の大学」になる。
　この学費値上げを受けて、地方の生徒が地元の大学に流れるのではないかという意見がある。確かに、東京で学生生活を送るのは相当費用が掛かる。そこに学費の値上げである。東大に行くよりは、地元の大学という選択が増えるかもしれない。しかし、その前提は、他の大学が学費を値上げしないということが前提だ。日本の大学の頂点にある東大が、学費値上げに踏み切れば、他の大学も追随することが予想される。そうなれば、国立大学というものが、どんどん国民から遠い存在になっていく。

　学費値上げの連鎖が起これば、昔のような学生運動が起こらないか。おそらく、ノスタルジーでしかないかもしれない。