立川市の事件により、保護者の学校に対する度を過ぎた要求をするモンスターぺアレンツが、またぞろクローズアップされてきた。東京都が教職員8万人を対象に調査を行った結果、1万1044人が回答した。そのうち22%に当たる2477人が過去5年間に、社会通念から疑問と感じる言動や行為を受けた経験が「ある」と答え、うち87%は保護者から受けたと回答した。詳しくは下のリンクの記事に出ているので読んでほしい。
回答の内容は、長時間の電話など時間的拘束が60%、暴言・どう喝が55%、金銭要求など過度な要求が40%、威嚇・脅迫が19%などとなっている。確かに、立川市の事件は、極端な事例かもしれないが、あの事件の程度までではないにしろ、教職員はかなりモンスターペアレンツから被害を受けているのである。東京都は、カスタマーハラスメント防止条例を制定しているが、果たしてこの条例に学校と保護者の関係は該当するのだろうか。条文を読んでみても、どうも該当しないのではないかと思う。なぜなら、顧客とは、
「顧客(就業者から商品又はサービスの提供を受ける者をいう。)又は就業者の業務に密接に関係する者をいう。」
と定義されており、保護者が学校から商品又はサービスを受けているわけではない。該当するとすれば、「就業者の業務に密接に関係する者」というところだろうか。いずれにしても、学校及び教職員は日常的に危険にさらされているということだ。
学校を守るには、どうすれば良いだろうか。もっと教育行政も学校も法に関心を示さなければならないだろう。金銭などの過度な要求や暴言・どう喝、威嚇・脅迫は明らかに法に触れる行為である。「児童・生徒の保護者だから・・・」と考えて、甘い対応をしているとどんどん事態は深刻化する。きちんとした対応が求められるのだ。その際、管理職の姿勢、教育委員会の姿勢というのは極めて重要である。警察と連携する、弁護士と連携するという判断は、管理職や教育委員会でないとできない。私もある高校で管理職の姿勢が変わるとこれほど教職員は守られるのかという経験をしたことがある。
更に、スクールロイヤーの導入を真剣に検討したほうがよい。現在でもスクールロイヤーを導入している自治体はあるが、ほとんどが都道府県レベルの導入であり、かつスクールロイヤーへの相談がほとんどである。実際に起こっている事案に対して、弁護士が介入する契約になっている教育委員会はまれだ。だとすると、実際に保護者対応をするのは、教員・管理職が中心となり、学校の負担は全然解消されない。これでは、機敏な対応に欠け、今回の立川市のケースや東京都のアンケートの結果の事案等には対応できない。
学校がモンスターペアレントであると判断した段階で、早い段階からスクールロイヤーと連携し、事態が深刻化する前に弁護士の介入ができるような体制が肝心なのではないか。
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