本田由紀教授の明快な主張

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 6月3日に開催された文教科学委員会の動画配信を視聴した。久しぶりに胸をすく思いがした。今回の委員会は、参考人を招致しての議論だ。参考人は、
青木栄一(参考人 東北大学大学院教育学研究科教授)
鍵本芳明(参考人 岡山大学学術研究院教育学域教授)
露口健司(参考人 愛媛大学大学院教育学研究科教授)
本田由紀(参考人 東京大学大学院教育学研究科教授)

である。青木教授には、大学院時代に教育行政について直接教わる機会があり、右でも左でもない、中庸をめざす青木先生らしい発言であったと思う。ただ、後に述べるが、給特法については、労働に関する明確な理念的な誤謬があるという事について、青木教授がそれほど言及されていないことは残念でならない。

 興味をそそられたのは、露口教授の働きやすさと働きがいとについての調査結果である。まず、教育委員会単位の働き方改革にも格差があるが、教授が調査されたのはある県の学校単位で、その調査結果によると学校間の格差は、教育委員会間よりも大きいという事だ。更に、調査結果で働きやすいと言われている職場で、働きがいが低い学校があるという事には興味を持った。是非調査結果を見てみたいと思う。学校経営という視点で学ぶことが多いと思う。

 胸がすくような思いがしたのは、東大の本田教授の意見陳述だ。教授は、明確に、

❶文科省が主張する時間外在校等時間というのは、教師の本来業務を行っている時間で、文科省が言うような「自主的・自発的な時間」ではない。明らかに労働時間である。
❷本来業務を行っているならば、明示的であろうが黙示的であろうが、労働時間であるというのが、厚労省の捉え方であり、文科省の論理は破綻している。
❸1966年に実施された実態調査から当時の残業時間が8時間程度であり、その手当として4%の教職調整手当が支給されたという計算方法を適応すれば、たとえ月の残業時間が30時間になったとしても15%の調整手当が必要であり、10%に設定していること自体、国が公立学校の教員の労働を搾取することになる。
❹以上の事を鑑みれば、この給特法及び改正・修正は、恥ずべき法律であり、廃案にして私立高校・国立法人系附属学校と同様、労基法を適応すべきである。

と主張した。心の中で、「よっしゃ!」と叫んだ。

国会議員は、この本田教授の主張を真剣に受け止めるべきだろう!と言っても受け止める能力も資質も乏しい者が国会議員になっていると思えるような質問をしていたのが、情けないのだが・・・。


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