2月4日の読売新聞に政府が進める給特法の「改正」案が報道された。内容は、以下の通りである。
★公立学校の教員に支給してきた「教職調整額」を基本給の4%から10%に段階的に引き上げ
★教員の業務量を管理する実施計画の策定、公表を教育委員会に義務付け
★若手教員の支援や学校内外の関係者との調整を行う「主務教諭」職の新設
★学級担任に手当てを加算
これで、本当に人材確保ができるのだろうか。
教員の長時間勤務の原因は、何によって起こっているかというと、その主な原因は、
◆授業時間数の多さ
◆教育課程のオーバーロード
◆保護者対応
◆多様化する児童・生徒への対応
◆中学校での部活動
などである。この問題を解決する手立てを打たなければ、教員の長時間勤務は解決の方向には向かわない。「教職調整額」を段階的に挙げても業務量が減らなければ、教員の待遇改善にはつながらないのだ。だから、やるべきことは、
●教職員定数の増加
●スクールカウンセラーやスクールロイヤーなどの多様な課題に対応できる人材の投入
●中学校では、部活動の地域移行の推進
である。その上で、給特法を廃止して残業代を支給することで、教育委員会や校長・教頭によるタイムマネジメントのインセンティブを働かせることである。
政府は、教育委員会に教員の業務を管理する「業務管理・健康確保措置実施計画」の策定を義務づけるようだ。この計画の策定は、実際はどうなるかというと、教育委員会→校長・教頭→新設される主務教諭→主務教諭から各教員へ依頼と指示が下りていくことは、容易に想像できる。結局、個々の教員がどのように業務削減するのかという事になるのだが、上記に書いたような人材を学校現場に投入しなければ、現場教員もどのように業務を減らしていいかわからない。つまるところ、「実施計画」は「作文」になり実効性を持たない内容になるか、もしくは新設される「主務教諭」が負担をかぶるという事になる可能性が高い。
結局、人材の投入を不十分にしかしないで、「業務管理・健康確保措置実施計画」を作れという事は、政府‐文科省の頭の中には、「教員は無駄な働き方をしているから、もっとタイムマネジメントを考えさせたら長時間労働は減る」という事が根底にあるのだ。教員の業務改善が必要と言われてから、かなり学校現場では努力をしている。実際、平均残業時間は減少したではないか。この状態からさらに残業時間を減らすことになればどういうことが起こるか。
☆「チーム学校」の基盤になる情報共有や認識の一致に齟齬が出る。
☆いじめや不登校など、時間を要する対応がおざなりになる。
☆行事や特別活動の削減・簡素化が行われ質が低下する。
☆問題事象への対応が、おざなりになる
等が起こるのだ。要は、学校教育の質の低下を招くという事である。
本当にこんな政府案でいいのか。現場教員は声を上げるべきだろうし、日教組は行動を起こすべきだろう。今は、少数与党という政治状況なのだ。野党の賛成が無ければ、法案は成立しないのだ。この政治変容が行われている時こそ、行動を起こすべきだ。
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