日本時間3月19日未明、トランプ大統領と高市首相の日米首脳会談が行われた。今回の会談は、世界中が注目していた。とにかく、アメリカとイスラエルがイランに先制攻撃をかけてから、初めてG7の国がトランプ大統領と会談するのだ。当事者である日本国民だけでなく、アメリカ国民も注目していただろうし、欧州各国、中東諸国、ロシア、中国などあらゆる国がその成り行きに注目していたことだろう。
私は、今回の首脳会談は、できるならば延期すべきと思っていた。延期できなければ欧州のG7の国の首脳と一緒にトランプ大統領に会うべきだと考えていた。というのも、イラン戦争が長期化し、イスラエルに引きずられるアメリカは泥沼の中に踏み込んでいきそうだったからであり、その事態にトランプ大統領は相当いらだっていた、というより彼の二転三転する言動を見る限り、ホルムズ海峡に関与しようとしない欧州、中国、韓国、そして日本に対して相当やけくそになっていたからだ。あの、トランプとゼレンスキーの悪夢のような会談が、もしかしたら今回の高市首相との間で再現されるかもしれないと思ったからだ。
今回の首脳会談ほど、困難を極めた会談は無かっただろう。今まで日米両国の間には、貿易戦争を始め、様々な問題も軋轢もあった。しかし、その問題を双方の努力で乗り越え、同盟関係を維持してきたのだ。今回の会談は、一歩間違えば日米同盟にさえ亀裂が入りかねない危険を孕んでいたのだ。
このような状況、つまり世界のどの首脳もトランプ大統領と今は話したくないという状況での日米首脳会談だったのだ。会談は、成功だったのか?大成功だろう!本当に高市首脳で良かったと心底思った。彼女が会談の冒頭部分で述べた
「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだと思う。私は諸外国に働きかけてしっかりと応援したい」
という言葉。この言葉に、今回の会談の全てが集約されている。高市首相もこの言葉を伝えに来たとトランプ大統領に言った。
この言葉の意味するところは、「イラン戦争を始めたあなただけがこの戦争を終結できるのですよ、私は諸外国と一緒に応援するから早く戦争を落ち着かせなさい」ということだろう。ただ、欧州各国のように、頭ごなしに「今回の戦争は国際法上認められないから、私たちは参加しないし、賛成もしない。だからトランプさん、早く戦争をやめなさい。世界は迷惑しています」と言ってしまえば、トランプという男とは、絶対に喧嘩になる。高市首相は、この自尊心の塊のような男に対して、肯定的な言葉を用いて、自尊心をくすぐりながら、「あなたの責任ですよ」と伝えたのだ。これほど、素晴らしい外交力はない。トランプ大統領にとっても、この言葉が欲しかったのだろう。NATO諸国から相手にされず、世界に迷惑をかけて孤立しかけている自分に対して、「日本は、寄り添ってくれた」と思うだろう。
この高市首相の言葉に対して、朝日新聞は「白々しい追従にしか聞こえない」と評し、毎日新聞は、「目についたのは、トランプ氏におもねるかのような首相の姿だ」と評した。この程度にしか、外交というものを理解できていないオールドメディアでは、日本の知識階級も金属疲労を起こしている。プロを自認する人たち、日米関係、国際関係の研究者、元駐米大使、元官僚たちは、よくぞ高市さん、この言葉を言ってくれたと絶賛している。例えば、早稲田大学の教授であるアメリカ議会での仕事の経験を持つ中林氏は、「私も同じようなこと言う」と言っていたし、東京国際学副学長のジョセフ・クラフト氏は、「最高のタイミングで最大の言葉を高市首相は、トランプに言った」と大賛辞である。
日本の外交力は、以前からそれほど評価されていなかった。しかし、今回の日米首脳会談の成功は、日本の政治史に残る会談であった。やがて、どこかで裏方に事務官僚の活躍を描くような政治ドキュメンタリーが作成されるだろう。
ただ、今回は危機を回避できたという意味では成功だが、ホルムズ海峡の事実上の封鎖は続き、日本に重油が来なくなる危機は継続したままだ。今後は中東情勢を落ち着かせるために、更なる外交努力が求められる。その意味では読売新聞の社説の見出しの「中東の安定に向けた出発点だ」というのは、まさにその通りだろう。
まだまだ、日本の危機は続くし、危機は益々深刻化する。

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