日本版DBS 法案提出見送り

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 加藤少子化相が、近く日本版DBSの秋の臨時国会への法案提出を見送ると表明するらしい。理由は、二つ。一つは、塾やスポーツクラブなど子どもに接する民間施設の対象が任意になっている点。もう一つは、性犯罪歴の証明を「一定年数」として、期限が過ぎれば「無犯罪証明」になってしまう点である。
 この間、前小倉少子化相の下で、有識者会議で議論を重ね、9月の法案化に向けて検討を重ねてきた。有識者会議での検討がまとまり、前少子化相に報告された時点で、「ザル」法になることはいろんな関係者から指摘されていた。今回、与党からも批判が起こり、再検討することは歓迎したい。しかし、この間の議論は一体何だったのかという疑問も残る。上記の2点に加えて次の2点をどうするのかを議論しなければ、「ザル」がザルのままになってしまう。
 1点目は、性犯罪歴に各自治体で制定されている青少年保護条例違反を対象にするかどうかである。青少年に関する性犯罪歴の多くが、この保護条例違反であることを考えると、対象にしなければならない。各自治体により、条例の内容に差があり、一貫した対応ができないというのが、有識者会議での結論だったが、職場から除外するかどうかは採用する側に委ね、情報提供ができるデータベース化は必要だろう。
 2点目は、示談になった場合である。この場合もせめて情報提供できるデータベース化をしなければならないだろう。性犯罪を犯した者が、示談が成立したことで反省をし、二度と同じことを繰り返さないのであればよいが、果たしてそのように考える者が全てであろうか。逆に、示談を「成功体験」と捉え、性犯罪を繰り返すことも考えられる。

 性的嗜好であるがゆえに、性犯罪は再犯率が高い。今回の再検討を良い機会ととらえ、「ザル」法にならない法案をめざしてほしいと思う。


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