斎藤氏「出直し選挙」


 やはり、この人は自分が悪かったとは思っていない。会見でも今回の兵庫県議会側の全会一致の不信任決議案採択に関して、「知事の職を賭すことか」とコメントしている。「いろいろ、自分にも反省すべきところがあるかもしれないが、改革もやっているじゃないか、まだまだ私は県政を前に進めたいんだ!」というのが本音だろう。

 斎藤氏の躓きは、最初に出された告発文書を「嘘八百」と断罪してしまったことだ。告発者を原告、斎藤氏を被告としたとき、いくら被告側が絶大な権力を持っていようが、内容を精査し、判断するのは裁判官、この場合は公益通報に関わる委員会であり、第三者でなければならない。それを、斎藤氏は「公務員としては失格」などと、処分してしまったことにある。あの時に、今のように「告発を真摯に受け止め、第三者委員会の判断を待ちたい」と言っておれば、県政はここまで混乱しなかっただろう。

 さて、知事選である。斎藤氏は、何の組織も持たず、政党支援も受けず選挙に臨むことになる。自民党、日本維新の会が誰を候補者に立てるのかは見ものである。選挙の争点は、斎藤氏の県政の評価であろう。第一は、斎藤氏の政策よりも「知事としての資質」が争点化されるであろうが、それだけでよいのかと思う。やはり、争点になるのは、政策でなければならない。出馬を決意したきっかけとなったのが「高校生からの手紙」だったと斎藤氏は言った。県立高校への支援も斎藤知事の政策の一つだろう。さらに、兵庫県立大学の無償化についても目玉政策の一つだ。大学の無償化は、今後の高等教育政策について課題となる問題であり、その先駆けとなるものである。国立大学の学費値上げが話題になる中で、先進的な政策だと思う。
 これについて、神戸市長の久元氏は、
「不適切な政策。自分のところの大学だけを考えるのではなく(県内にある)大学全体をどう考えていくのか。(政策を)やめていただきたい」
と強く述べている。この批判はおかしい。県政としては、まずは県立大学を対象とすべきであり、その政策が県民にとって是であるならば、神戸市も同調し、神戸市立の大学も無償化すればよいのだ。それを強い口調で批判する神戸市長の感覚は、理解に苦しむ。

 今回の出直し知事選、まだまだ不透明で先行きがわからないが、この半年、斎藤氏の資質がクローズアップされ続けてきた。もう一度原点に戻って、政策の議論、そしてそれを推進することがふさわしい知事の資質を有しているのは誰かという議論をしてほしいと思う。


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