文科大臣が「働き方改革」を諮問


 5月22日に、永井文部科学省大臣が中教審に教員の働き方改革について諮問した。答申は、来春に出されるらしい。今回の諮問では、「給特法4%の上乗せ」「手当の拡充」「学校支援人員の拡充」などが議論になるようだ。この内容だと「給特法」は維持されることになるのかもしれない。4%の「定額働かせ放題」と言われる現在の給特法は、悪法そのものである。この法律の是非について議論をしてほしいと思うが、どうもそのような方向になっていないのかもしれない。
 給特法をどうするかという問題は、世界でも特殊な「日本型学校教育」の是非に議論が及ぶ。日本社会では当たり前になっている家庭教育や社会教育に及ぶ範囲まで学校教育に負わせているこの「日本型学校教育」は、世界的には極めて特殊である。この「日本型学校教育」故に、学校はますます「ブラック化」してしまい、教員志望者が激減しているのが現状で、学校教育そのものが危うい状況になっている。
 議論は、大きく分けて二つ。「日本型学校教育」を維持し、しっかりと残業手当を支払うこと。もしくは、「日本型学校教育」を改革し、教師は授業に専念できる体制を確立し、定時に帰宅できるような職場に改革することである。前者の場合、必要なコストは相当な額に上ると試算されており、おそらく政府や自治体の財政状況に少なくない影響をもたらすと思われる。言い換えれば、それだけ現場の教員は「ただ働き」させられているわけであるが・・・。後者の場合は、人的資源をしっかりと学校に配置しなければならない。まずは、部活動指導員の配置であろう。放課後の部活動から教員を切り離すことができれば、どれだけ時間を作ることができるか計り知れない。学校現場を知らない人は、「だけど、部活動の時間って、1時間から1時間半程度でしょう?長くても2時間はかからないでしょう」と思われるかもしれない。部活動に関わるというのは、何も技術指導だけではなく、その部の運営に関わるということである。担任を持っている教師からすれば、自分のクラスの運営だけでも相当な時間を割かれるのに、加えて部の運営にも携わらなければならい。土日の練習、試合の引率、そのためのエントリーといった事務的な手続き。さらに大会の運営のための準備もある。部内のもめごと、生徒への指導、保護者への理解など、部活動に関わるということは、もう一つクラスを担当するようなものだ。これが教師の現実である。
 いま私は、「先生がいなくなる」(PHP新書)を読んでいる。なかなか良い本だと思う。すべての学校現場の教師が読むべきだろう。自分を大切にできない教師は、子どもも大切にできない。自分が頑張りすぎていると、子どもにも同様の頑張りを強要してしまうことがある。諮問された今こそ、この答申の内容をより良いものにするために、全国的な教員の取り組みが求められていると思う。


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