教育は蚊帳の外

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 9月27日の自民党総裁選は、1回目の投票までは想定どおりだった。高市氏と石破氏が上位1位・2位になるだろうと思っていた。予想していた以上に、高市氏が議員票を集め、「これは、初の女性総裁、そして女性総理の誕生か!」と思わせる勢いだった。高市氏もそして支援者もそう感じたのではないか。ところが、決選投票では、ものの見事に逆転劇である。議員票の劣勢を飛躍的に挽回し、石破氏が逆転勝利したのだ。このあたりが、自民党と言えば自民党である。新聞紙上では、
「自民党のバランス感覚が働いた」
「高市氏の右派的政策が、国益にマイナス」
「両者とも党内基盤が弱く、究極の選択」
等と論評されている。私は、高市氏の政策を全面的に支持しているわけではないが、9人の候補者の中で唯一の積極財政派であり、中ロ北の3か国に毅然とした態度でものが言えるという面は評価している。ただし、内閣総理大臣として靖国参拝することについては、政治的判断が求められるだろう。自民党の中に、中国に阿る雰囲気がかなりあるのだと改めて思わさせた総裁選だった。

 さて、過去最長の総裁選の中で、様々なテーマが議論され、これ自体は中々面白い風景を見ることができた。しかし、論戦の中で1回でも教育というテーマを取り上げ、持論を述べた候補者がいたかというと、残念ながらいなかったと言わざるを得ない。マスコミの「切り取り方」や議論のテーマ設定にも原因があると思うが、教育という分野が論戦のテーマにならなかったのはとても残念である。
 今、教育はそれほど話題にならないのだろうか?そんなことは無いと思う。
教育内容で言えば、現行学習指導要領は、今までの教育の在り方をコペルニクス的に転換しており、探究学習や主体的・対話的で深い学びが実践されている。この実践の進捗状況はどうなのか、課題は何なのかということは、今後の日本を背負う若者を育成するという意味でも、大きなテーマである。
教育政策で言えば、まさに教員の働き方改革の問題、給特法の問題、教員不足の問題は深刻であり、学校崩壊、教育崩壊の危機さえある。
今後の教育のテーマで言えば、日々進化し発展していくAIに対して、どのように私たちは付き合っていくのか、どのような人材を育てなければならないのか、ということは、もう目の前の人材育成課題ではないかと思うのだ。

 このように考えると、決して教育というテーマは、疎かにしてよいテーマではない。しかし、「教育と政治」というのは、相性が悪い。双方から相性が悪いのだ。政治の側から教育を語ろうとすると、すぐに「教育の中立性」という批判が、右からも左からも来る。そして、教育側からは、教育は「純」で政治は「不純」というイメージが付きまとい、学校関係者は政治を語ろうとしない。しかし、本来「教育と政治」は密接に関連したものである。どのような人材を育成するのかという大きなテーマからは、その時々の国家観、歴史観、世界観が問われる。そして、それは自動的に政治性を帯びてくるのだ。だから、政治家も教育について語らないといけないし、教師側も政治について語らないといけないと、私は考えている。

 今後、石破氏は、党内人事を行い、臨時国会で首相に任命される。内閣人事に着手しなければならない。文科大臣が一体誰になるのかも注目の一つだ。


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