教科書検定と生成AI


 3月24日、2027年度以降に使われる主に高校2年生向けの教科書検定が公表された。各報道では、多くの教科書がAIや生成AIについて取り上げたとしている。新しい教科書は、生成AIが生み出す課題やリスクを示しながら、適切な向き合い方を自分の頭で考えるように促しているという。

 確かに学校現場での生成AIの活用は急速に広がっている。子ども家庭庁の25年度の調査では、高校生の46.2%が生成AIを利用しているという。教科書でいくら生成AIが生み出す課題やリスクを示しても、便利で簡易な生成AIの利用は、益々子どもたちに広がっていくだろう。その結果、何が起こるか。考える力と書く力の低下だろう。

 読売新聞の30面に、興味深い記事が掲載されていた。北陸地方の公立高校の教諭が、「住んでいる町の課題」という事で英作文を書かせたところ、英語を苦手とする生徒から、海の生態系に関する専門用語を多用した英作文が提出されたという。明らかに生成AIを活用して作成した文章をそのまま出したと思われる。都立高校の20代の教諭も「文章を書かせる課題では、生徒のほぼ全員が生成AIを使ってくる。このままでは文章を書く力が落ちる」と指摘している。

 いくら懸念を述べても、便利なものはどんどん広がり、私たちの生活に入り込んでくる。パソコンもそうだし、インターネットもそうだった。スマホも誰しもが持っている。これからは生成AIが私たちの生活の基盤になってくる。以前にも書いたが、これからの若者に何かを質問しても、すぐに生成AIで調べようとするだろう。そうすると、大体同じような回答が返ってくるようになるのではないか。これでは、人としての成長が止まってしまう。

 と、ここまで考えてしまうと、これから求められる学力とは何かという事に行き着いてしまう。生きるための力と言ってもいいかもしれない。まず、すぐに思いつくのは、生成AIの活用能力の向上である。生成AIは、今の段階の世界中にある知識・情報を駆使して、答えを導き出そうとする。単純な問いには、ほぼ同じような答えしか返ってこない。そうすれば、AIが持っている膨大で莫大な知識・情報を活用するための、そして他の人とは違う回答を引き出すためのAI活用能力が求められるのではないか。

 次に考えられるのは、AIを駆使した上で、様々な回答を引き出し、その回答を吟味したうえで、AIとは違う視点で自らの回答を導き出す能力である。すなわち、批判的思考力というものではないだろうか。この批判的思考力というものが、一番重要になってくるのではないか。
 例えば、学校現場でも、ある問いに対して教師が生成AIを活用して導き出した回答に対して、違う視点を討議するような活動を設定するというような活動はどうだろう。当然、生徒は生成AIを活用できない。このような活動を増やすことにより、批判的思考力が養われるように思うのだが、如何だろう。


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