臨時国会が開催され、補正予算が議論されている。やはり焦点は、「103万円の壁」問題と政治改革、特に企業団体献金の是非が焦点化している。多くの国民に関わる問題なので、重点的に報道されている。これはこれで重要なことだ。その一方で、教員の働き方改革についても、国民全員に関わる問題と言っても過言ではない。私がこの問題についてずっと主張していることは、
★給特法がある限り、時短へのインセンティブが働きにくい
★財務省案にしろ文科省案にしろ、教員の給料の原資は税金であること
★それゆえ、教員の働き方改革を推進しなければ、国民の負担も増し、教育の質も向上しない
★教育に資金を投入することで、教育の質の向上を目指すため、学校の役割を国民全員で議論をしなければならない
ということである。
現在、働き方改革については、文科省案と財務省案がある。この違いについてはいろいろあるが、給特法を維持するのかどうかというのが大きな違いである。更に、文科省は教育現場に人材を投入するというが、財務省は消極的である。自助努力で時短しろというのである。これは政府が「ジタハラ」していると言われても仕方がないだろう。
さて、給特法を廃止または改正しようという点で、財務省案は評価できる。一律に教職調整額をアップしても、教員の働く実態は一律ではないのだ。また、給特法がある限り、「定額働かせ放題」というシステム的な問題は維持される。給特法がある限り、時短へのインセンティブが働きにくいのだ。労働基準法で、残業代が支給されるのは、労働に対する正当な対価であるということと共に、管理職による時短へのインセンティブを効かせるためである。元々、8時間(現在では7時間45分)労働を基本としているにもかかわらず、残業で余計に働かせることによって、管理職としては労働の対価と共に、働く環境がどうだったのかを考えさせ、時短への取り組みをさせるために、残業代というものが支給されるのだ。
私が勤めていた附属学校でも労働基準局から是正勧告を受けて、残業代を支給していないことに対して厳しい指摘を受けた。その後、大学からかなり強い時短の圧力がかかった。財政に苦しむ小規模単科大学としては当然の動きだろう。しかし、その時短の圧力は、教育の質の低下を招くものであった。ここが、教育現場の難しいところで、教育の質を維持しながら教員の時短を進めるには、例えば部活動指導員のような人材を現場に投入しなければならないのだ。時短ばかりを優先すると、やらなければならない課題に手を付けない事態になりかねない。教育大学であるにも関わらず、教育の質を低下させかねない程、残業代の支給というのは、強烈なインセンティブが働く「トリガー」なのである。
この給特法について、全く正しい見解を示しておられる弁護士の意見が掲載されていたので、ここで紹介したい。弁護士 嶋﨑量氏である。是非ともこの見解を広めてほしいと思う。一人一人の教員が考えるべき問題だ。
公立学校教員の「働かせ放題」合法化する、理不尽な法律「給特法」変えるカギ
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