救えぬ命ー読売新聞 新聞記者の取材が甘い!


 やはり予想通りだった。予想は二つの意味で当たった。まずは、記事の内容である。神戸市の例、旭川市の例、熊本県の例などが提示され、それぞれ教育委員会の問題、学校の問題、教育委員会と学校の関係の問題が報じられている。そして、二つ目の予想は、やはり「取材が甘い」ということである。例えば、神戸市の問題で次のように記載されている。

「市教委の首席指導主事が校長に指示し、同級生からの聞き取りメモを隠蔽。首席指導主事をはじめ市教委の担当者全員が教員出身者だった」

と。旭川市の問題でも、「教員出身者12人が市教委でいじめを担当していた」と書かれている。いじめ問題を教員出身の指導主事が担当することが原因のように書かれている。果たしてそうだろうか?多くの自治体で、いじめ問題は教育委員会の指導主事が担当している。教育委員会の指導主事がいじめ問題を担当するから、このような隠蔽や歪曲が起こるというのならば、全国で同じことがもっと頻繁に起こるはずだ。しかし、全国の自治体の中で、同様の問題がどれだけ発生しているのだろう。きちんと対応している学校、教育委員会のほうが圧倒的に多いと思うし、そう思いたい。だから、記者は「なぜこのような対応を学校や教育委員会が行ったのか、その原因は何で、教訓は何なのか」を明確にしなければならない。そうでないと、「学校&教委=いじめ隠ぺいの悪」という構図だけが残るのである。もう、学校も教委もいじめに対応するなということが解決策になってしまう。

 私なりに、このような隠蔽や歪曲が起こる原因を考えてみると、都道府県レベルでは起こりにくく、市町村レベルで起こりやすいのではないかと思う。なぜなら、市町村レベルでは、自治体の規模が小さく、教師の世界は狭いからだ。どこかで一緒に仕事をした同僚であったり、先輩後輩の関係であったり、上司と部下であったり、何らかの関係性があるからだ。その時、法による判断ではなく、「忖度」というものが発生しやすくなる。日本の社会の悪い部分ではないかと思う。そこにメスを入れるのが、マスコミではないか。記者は取材相手に「なぜ?」を5回聞いてほしい。そうすれば、問題の本質に迫ることができるだろう。

このブログ、連載を担当した記者さんは読んでくれるだろうか?


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