この記事は、全国版に載せてほしかった。3月27日の読売新聞の地方版に、大阪弁護士会が文科相に、2022年に出された通知の撤回を勧告したのだ。文科省は、2022年に「特別支援学級の児童・生徒は原則として週の授業の半分以上を支援学級で受けるように求める」通知を全国に発出した。この通知に対して大阪弁護士会が「人権侵害のおそれがある」として、撤回を勧告したのだ。
文科省の言い分はこうだ。支援学級の子どもが通常学級で授業を受けることについて「障害の特性などに応じた指導を受けていない事例がある」というのだ。ところが、大阪府では小中の段階からインクルーシブ教育が行われている。おそらく、全国的にも先進的に進んでいると私は思っている。このような大阪の事情からすれば、「できるかぎりこどもを通常学級で学ばせたい」と思うのは当然だろう。
私は、障がいが無い生徒にとっても、「ともに学ぶ」ということはとても良いことだと思う。私が教頭をしている頃に、共生推進教室についての新任研修を行ったことがある。と言っても、私が勤める学校の紹介をしただけだが。その時に、新任の若い先生にこんな質問をした。
「先生方が小中学校のときに、障がいがある友人と一緒に学びましたか」
と。そうすると、ほとんどの先生が手を挙げた。これが大阪府の教育実践の成果だろうと言える。世の中には、様々な人がいる。障がいがある人とも、共に生活している。ところが、学校で半分以上を支援学級で勉強しなさいと言われると、実際の社会とは違う状況になってしまうのだ。大阪のインクルーシブ教育とは、実際の社会を学校にも反映させるというものだろう。「共に学び、共に育つ」という理念と、文科省の通知は相容れない。この勧告について、文科省もよく検討してほしい。
そして、マスコミも地方版ではなく、もっと大きく報道してほしいと思う。この通知は、障がい者教育の根本にかかわる問題だからだ。
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